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専門知識や資格より重要な「基礎力」とは何か?

大久保幸夫(リクルートワークス研究所所長)

2012年02月27日 公開 2022年12月27日 更新

 

日本の新卒は、就職というよりも就社

これは日本特有のものだが、最初のキャリアのスタートが、職業を選ぶわけではなく、会社を選ぶことからスタートする傾向が強いということも理由である。

もちろんある程度職業を考えて就職活動をするだろうが、実際にはその通りに配属されるわけでもないし、人事異動も頻繁にあるので、その頃のキャリアは自分でコントロールすることができない。

しかし一方では、20代は最も職業能力が伸びる時期でもあり、いくら将来が見通せないからと言って、自分の成長を考えないわけにはいかない。この時期に開発テーマとなるのが基礎力なのである。

基礎力の伸びが顕著な人には一つ上の仕事を期待するのが企業の姿であるから、基礎力を高め続けている人が順調に職業人生を歩むのである。そのような人々をロールモデルとして、多くの人が自分もそのような道を歩もうとするし、それは企業の人材育成の方向とも一致している。

 

今後は専門性よりも、基礎力が重要に

このような理由が重なり合って、現在の基礎力に対する取り組みに至っているのだ。

職業に必要な能力には、当然ながら専門的なスキルや知識というものもあり、とても重要なものであるが、いくら専門性があっても、それを活かすための能力である基礎力がなければ、宝の持ち腐れになってしまう。

また専門的な技術は、その時点でいくら花形のものであっても、時代の変化のなかでアッという間に陳腐化してしまう。専門的な技術を今現在持っていることよりも、時代の変化のなかで、常にそれを磨き上げ、最新の技術にキャッチアップしてゆく継続学習という基礎力のほうがより大事なのである。

資格などに目が行く人もいるかもしれないが、すでに社会人として仕事をした経験があればわかることだが、必要とあれば比較的短期に取得することができるものである。

基礎力を高め続けることは、生涯にわたる課題である。早く気づいた人が、それだけ仕事の成果を上げ、仕事を楽しむことができると思う。始めるのは何歳からでも遅くない。

 

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