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専門知識や資格より重要な「基礎力」とは何か?

大久保幸夫(リクルートワークス研究所所長)

2012年02月27日 公開 2022年12月27日 更新

大久保幸夫

本格的に進む“ビジネスのグローバル化”

日本企業の多くが国内市場に閉塞感を持ち、本格的に海外市場を狙いに行くようになった。それに伴って、いわゆる「グローバル人材」「グローバルリーダー」の採用や育成が大きな企業課題になってきている。

海外の現地法人だけでなく、日本国内の本社や事業所にも外国人が目立つようになってきたと実感している人も多いだろう。実際、2011年は外国人採用元年と言われ、新卒採用で外国人留学生はもちろん、海外の大学を卒業した外国人を日本本社が試験的に採用した年だった。

この傾向はこれから短期的に一気に進む可能性がある。当然ながらその影響は日本人ビジネスパーソンにも及ぶ。20代のうちに海外勤務を経験させる企業が急速に増えているし、国内にいても取引先や顧客が海外にいる、もしくは外国人であるという仕事が多くなってきている。

同僚や上司が外国人であったり、レポート先が海外であったり、一部には、社内公用語が英語になるという会社も出てきている。

グローバル化というと外国語の力ばかりが取りざたされるが、実際には異なる価値観や文化を持った人とでも仕事上の信頼関係をつくるカや、自分自身の考えをきちんと表現する力などの基礎力のほうがむしろ重要になってくる。

本質的な力が問い直されると言ってもいいだろう。ダイバーシティという言葉が一般的に使われるが、すでにチームの構成員は外国人を含む多様な人々になってきている。小手先の技術よりも、まず基礎をしっかり磨くことがグローバル人材になる近道なのだ。

基礎力が各国で注目されるようになったのも、1980年代から90年代にかけてのグローバル化及び、経済界の変化のスピードが加速していることが影響している。

 

職業寿命が長期化し、何度か転職するように

年金の支給開始は65歳に後ろ倒しされることが決まっている。さらに、今の若い世代の人たちが年金をもらえるのは、おそらく68歳から(もしくはそれ以降)になる可能性が高い。

それまではよほど資産家でない限り、生活や老後の資金のために働かなければならなくなる。悠々自適に引退という選択肢はなくなってくるのである。

そして、健康寿命(元気に生活や仕事ができる寿命)が80歳くらいにはなっているだろうから、「健康な間は働きたい」と思う人は80歳まで職業寿命があるようになる。

そうすると、大学を卒業してからと考えても、約60年という長い年月があることになる。その間には複数の会社に勤務することになるだろうし、また職業そのものが変わる可能性も高いだろう。

そのような長期のキャリアを歩むうえで、確かな礎になるのが基礎力である。基礎力は職業を問わないし、どこかの会社で通用して他では通用しないというものではない。持って歩ける職業能力なのだ。

戦略的にキャリアを考えるならば、若い時にまず基礎力をしっかりと身につけ、そのうえで随時基礎力のレベルを底上げすることが優位な方法だと言えるだろう。

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日本の新卒は、就職というよりも就社

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