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生き方

誰にでも起こりうる「パートナーの突然死」...経験者が苦労したこととは?

小谷みどり(シニア生活文化研究所 所長)

2022年03月11日 公開

 

夫と死別しても仕事は継続した

【ケース1】小谷みどりさん/没イチ歴10年/夫が突然死

その日の朝、別の部屋で寝ていた夫(当時42歳)を起こしにいったところで、ふとんの中で死んでいることに気がついたのです。静かに横たわる夫を見て「私が殺した?」とも考えましたが、前日の夜は私が先に寝ていました。

しばらく呆然としていましたが、まずは消防署(救急車要請)と、夫の母や兄姉に連絡をしました。救急隊員は夫を見るなり警察に連絡をしたので、刑事2人がやってきました。事情聴取が終わると刑事は夫の遺体を警察署へ連れて行きました。

当日、一番大変だったのは、夫の知人に連絡をとることです。会社の上司への連絡は、年賀状に電話番号が書いてあった人から連絡してもらうことにしました。

葬儀が終わった1週間後には、講演や大学での講義の予定が入っていたので、仕事は継続しました。すると「死別して間もないから楽しそうにしないほうがいい」と忠告してくれる方もいました。とはいえ、経済的に自立していたことは、今となってはよかったと思います。

 

妻が急逝してできなくなったこと、始めたこと

【ケース2】岡庭正行さん/没イチ歴6年/妻が突然死

妻が亡くなったのは、私が59歳のとき。妻は人工関節を入れる手術をしてから1階で寝るようになり、私は元の2階の寝室で寝ていました。とても寒い冬の朝、妻は台所で倒れていたんです。元々、心臓が強いほうではなかったので、死因はおそらく心臓麻痺だろうということでした。

妻がいなくなってできなくなったことは、旅行に行くこと。家の中の調味料や日用品の場所は、娘たちに怒られながら覚えていきました。お金の管理も妻がしてくれていたので、今の自分は無駄づかいが多いかもしれません。

ただ、妻がいなくなってできなくなったこともあれば、1人で身軽だからこそできるようになったこともあります。外国人観光客の英語ガイドや美術館での活動などのボランティアは、妻の死後に始めました。

妻が元気な頃に美術館やコンサートに行った思い出が活動の動機になったと思います。だから、お互いが元気なうちに一緒に経験できることは、たくさんしておいたほうがいいと思います。

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お互いが生きているうちにやっておきたいこと

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