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生き方

誰にでも起こりうる「パートナーの突然死」...経験者が苦労したこととは?

小谷みどり(シニア生活文化研究所 所長)

2022年03月11日 公開

誰にでも起こりうる「パートナーの突然死」...経験者が苦労したこととは?

パートナーがいる日常は当たり前ではありません。突然、「死別」という形でその日常がくずれ去ることもあるのです。

一方で、パートナーに先立たれた人の人生は続いていくもの。そんな状況に立たされたとき、どうしたら乗り越えていくことができるのでしょうか。自らも当事者として、死生学や生活設計論などを専門とする小谷みどりさんにお話を聞きました。

※本稿は『PHPくらしラク~る♪』2022年3月号より一部抜粋・編集したものです。

 

朝起きたら死んでいた

もしも、パートナーが突然亡くなったら…と言うと、「縁起でもない!」と怒る人もいるかもしれません。でも、私の夫は朝起きたら死んでいました。そこではじめて「パートナーと死別した人は、その後の人生をどう生きていくか」という大きな問題を考えるようになったのです。

最初は、「なぜ死んでいるのか?」という思いにとらわれました。死んでいく過程を見ていないので死を実感できませんでした。怒りのもって行き場もありません。その心境をたとえるならば、「一緒に暮らしていた恋人が突然出ていった」に近いでしょう。

 

死別後の生活も大切

夫が死んだ当時、「かわいそうに」と言われることや、哀れむようなまなざしを向けられることに違和感がありました。周囲もなんと言っていいのかわからないと思います。突然死をされたパートナー自身が混乱しているわけですから。

そんなときは素直に「なんと言っていいかわかりません」と伝えたり、普通の会話をするのでいいのかもしれません。「悲しいでしょ」という慰めの言葉は、私にはプレッシャーに感じられました。

日本には「パートナーに先立たれた人は楽しんではいけない」かのような、社会的圧力があるように感じます。実際、私が企画に協力しているマンガでは、妻に先立たれた主人公がシェアハウスに入居するストーリーに対し、一部から「不謹慎だ」との声がありました。

しかし、配偶者に先立たれた人は、悲しみのなかにあっても、配偶者のいない人生を歩んでいかねばなりません。配偶者に任せきりだった役割も自分がしなければなりません。

新しい環境にとまどうこともありますが、同じ体験をした人たちで、そんな気持ちや情報を共有する場が社会にないことに気づきました。そこで、私は配偶者と死別した経験をもつ方々とともに、「バツイチ」ならぬ「没イチ会」を結成しました。

遅かれ早かれ、みんな同じ立場になります。この機会に死別後の生活も考えてみてはいかがでしょうか?

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