管理しきれない実家のお墓...実はメリットも多い「墓じまい」の手引き
2021年12月22日 公開 2024年12月16日 更新
もしも、「墓じまい」をすることになったら…?
気軽に帰省しにくい今、遠方のお墓をどうするか悩みを抱える方が増えています。お墓のスペシャリストで、葬祭マネジメントや終活に関する講師としても活躍する吉川美津子氏に伺いました。
※本稿は、『PHPくらしラク~る♪』2021年12月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。
無縁墓にならないためにお墓を移す「改葬」
「墓じまい」とは、管理できなくなったお墓を撤去すること。なかの遺骨を取り出して別の場所に移動する「改葬」とセットで考えます。
たとえば、子世代が暮らす家が実家のお墓から遠く離れた場所にあり、お墓参りのためだけに帰省しづらい場合。実家のお墓は手入れができず、「無縁墓」になってしまうかもしれません。
もし、守っていくことができたとしても、自分が住んだことのない土地にあるお墓を、次の世代が引き継いでいくのはもっと難しくなるでしょう。実際、無縁墓は全国的に増加傾向にあります。
これらのことから、「実家のお墓をどうするか?」と悩む方や、「お墓の問題は自分たちで解決しておきたい」と考える方が増えています。
縁を守りつないでいくこれまでと違う弔い方
墓じまいという言葉は、墓に「しまい」という言葉が付いているため、「そのお墓を終える」というイメージで使われがちです。そのため、抵抗感や罪悪感をもつ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私の思う墓じまいは、「お墓に入っているご先祖を無縁にするのではなく、有縁にするために行なうもの」です。
これまでの形式にとらわれず、ご先祖との縁、そこに集まる人たちの縁をつないでいくために「これまでと違う弔い方」を考えてみてください。そうすることで、ご先祖や自分、自分の家族を無縁にせずにすむのです。
とはいえ、まだ墓じまいになじみがない人がいるのも事実です。インターネット上に氾濫している情報を状況に応じて取捨選択することは困難ですし、墓じまいには手間と労力がかかります。また、金銭的な負担も考えると、二世代、あるいは三世代にわたっても一度あるかどうかの大きな決断といえるでしょう。
そんな墓じまいの行ない方や、行なう際の注意点などを解説するので、ご先祖との縁をつないでいく手段の一つとして考えていただければうれしいです。
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CASE1:疎遠になっていた実家のお墓「あとは任せる」と突然言われ…。