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「心が乱されるLINEは未読削除」山内マリコさんの“距離を置く”人づき合い

2022年05月13日 公開

山内マリコ(小説家・エッセイスト)

おだやかに生きる

誰でも人間関係に悩むことがあります。心を乱されてしまうようなことから、そっと逃げることも時には必要です。生き方を考える月刊『PHP』にて小説家・エッセイストの山内マリコさんが語った、おだやかにすごすための「距離を置く」人づき合いの方法を紹介します。

月刊『PHP』は1947年に松下幸之助によって創刊され、おかげさまで本年4月、75周年を迎えました。
PHPとは"Peace and Happiness through Prosperity"の頭文字で、「繁栄によって平和と幸福を」という、松下幸之助の願いが込められています。

※本稿は月刊『PHP』(2021年5月号)より抜粋・編集したものです。

 

よろこんで「距離を置く」

心おだやかに生きるために、わたしはまた一つ、悪事を働いてしまいました。

あれは冬のはじめのこと、スマホに届いた一通のLINE。10年以上前に知り合った人からの、飲みの誘いでした。

社交辞令みたいな会話をしただけの仲ですが、なぜか親しげ。いついつまで東京にいるから飲もう、みたいな軽いノリの、3行にも満たない内容です。コロナ禍の会食についてこちらのスタンスをうかがうような配慮はなし。わたしの仕事をどこかで見たとかで、すごいね、順調だね、おれにも仕事紹介してよみたいなコメントも見え、真意はこれかと思わなくもない、そんなLINEでした。

即レスの癖がついているわたしは、勢いでそのLINEを開きそうになり、トトトッと前につんのめりながら、開くのを踏みとどまりました。開けたら最後、既読がついて、なにか返さなきゃいけなくなります。向こうの気を悪くさせない断り方を考えるのもアホらしいですが、既読無視をしたとなると、こちらも後味が悪い。

うーんうーんとしばらく悩み、スッと人差し指をスライドさせ、これは見なかった、届かなかったということにして、その人の連絡先ごと、こちらのLINE上から、そっと削除しました。

酷いですね......。

でも、そうすることでわたしがまたひとつ、心おだやかに生きられることはたしかなのです。

 

自分を守るための不義理をする

わたしの場合、普段から心はほどよく凪の状態。波風が立つのはきまって外からやって来る人間関係です。とりわけ、こういった話にいちいち乗って、いい顔をしていたら身が保たない。「あいつはとんでもなく失礼なやつだ」と相手を怒らせてもいいし、嫌ってくれていい。だから話しかけないで......。もう長いこと、こうやって、わたしは自分を守るための不義理をしてきたのです。

同じようなことをされたこともあります。LINEが返ってこなかったり、人と話しているときにふと、拒絶の色合いを感じたり。自分もしていることなので責める気もなく、「了解!」と受け取って、心の中で静かにフェードアウトします。

希釈された「NO」を、これは意思表示だなとキャッチして、去る者は追わない。長く仲良くしていた人から、「もう連絡をとるのはよそう」と言われたときもそうでした。わたしという存在があなたの心を乱してしまうなら、よろこんで距離を置きますよと。

昔から広く浅くの人づき合いは苦手で、そもそも気の合う人が少ない。友人関係ですらこの調子なので、中身のない人脈はもってのほかです。義理人情に絡め取られないよう細心の注意で生きており、ちょっとでも気が重くなる誘いは軒並み、容赦なく、断ります。最近はもっぱらコロナを理由にしていますが、コロナ以前から、コロナ禍並みの断りようでした。

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