自分の人生の選択に、覚悟を持って臨むこと
自らが努力をすることもなく、そこから逃げ出そうとする。それでは人生は充実したものにはなりません。今与えられている仕事、自分のやるべきことに心を尽くすことです。自分の人生の選択に、覚悟をもつことが大事です。これはいくつになっても同じです。生きるということは選択の連続です。
定年後にどう生きようかという大きな選択から、明日という日をどう過ごそうかという小さな選択まで、人生は常に選択が迫られています。目の前に現われた1つひとつの選択肢に対して、常に覚悟をもつことです。
自分が選択した。だから結果はすべて自分に降りかかってくる。その当たり前の事実をしっかりと受け止めることです。
定年後には出家をしたい。田舎に引っ越して農業をやりながら暮らしたい。あるいは趣味の釣りに没頭する生活をしたい。
どんな夢をもってもいい。どんな生き方をしようがその人の自由です。他人に迷惑さえかけなければ、人は自由に生きればいい。ただし、そこには覚悟をもっておくこと。その選択が間違いだったと気づいても、それは自分の責任であることを知っておくことです。
自分が歩く道は自分が選ぶ。その道がいかに厳しいものであっても、覚悟をもって歩き続ける。結果など考えずに今日を生きる。人生の充実感はそこからしか生まれません。
自らの「発心」の強さを信じること。そして行動に起こす時には、覚悟をもって臨むこと。それがわが道を歩むということです。
【枡野俊明(ますの・しゅんみょう)】
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授
1953年神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。「禅の庭」の創作活動により、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年には『ニューズウィーク』日本版にて、「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。庭園デザイナーとしての主な作品に、カナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル日本庭園など。