「不安になりやすい日本人」が問題の解決を遅らせる
2022年12月07日 公開
不安にとらわれない老人を目指そう
日本人が不安を感じやすいのは、学校教育が一要因となっているでしょう。
初等教育から高等教育までを通して、日本の教育は生徒を「減点法」で評価します。子どものころから毎日毎日、「失敗してはいけない」というメッセージを受け取り続けた子どものなかには、積極的なチャレンジのできない、臆病な心が芽生えてしまいます。
減点法は、自信も喪失させます。とりわけ自信喪失しやすいのは、できることとできないことの差が激しいタイプの子です。
絵に関しては天才的でも勉強は苦手、勉強が得意でもコミュニケーションが不得手といった子は、できない部分ばかりを指摘されているうち、劣等感を募らせていきます。
大人の社会でも、上に嫌われることが不安材料となります。
「同調圧力」もキーワードです。会社組織のみならずすべてのコミュニティに蔓延していて、誰もが不安をかきたてられています。
本稿を読んで「自分も不安を感じやすい」と思い当たった方は、きっとこうした影響のなかで、知らず知らずのうちに「不安な日本人」の一人になったのでしょう。
ならば、今からでも不安のコントロール力をつけましょう。自分が日ごろどんな不安を抱いているのか、その不安はどれくらいの確率で起こりえるのか、偏った判断をしていないか、予防策や対応策は用意しているか、振り返ってみましょう。
会社員の方なら、社内でとっている行動についても考えましょう。「干される」ことを恐れて忖度したり、行動に制限をかけたりしているなら、そろそろやめてもいい時期です。
定年の近づいている方はとくに、一個人として自由に生きる準備を始めましょう。定年後は、人生でほぼ初めて、誰かに点数をつけられたり、評価されたりすることのない日々がやってきます。
老後は、不安と適切に向き合い、常に平常心を保つ「老賢者」を目指したいところです。小さな心配事を抱えるたびに動揺したり、「あれが怖い」「これが怖い」と言って家に閉じこもったりするような老後では、尊敬も得られないし、生活が楽しくなりません。
そのうえ身体機能も脳機能もどんどん落ちて、要介護状態にまっしぐらになってしまいます。今から日々前頭葉を働かせ、理性と知性と活力とを備えた高齢者になりましょう。