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拙い英語でもいい! 「自分」を相手に伝える力をつけよ

内永ゆか子( ベルリッツコーポレーション代表取締役会長兼社長兼CEO )

2012年05月17日 公開 2022年12月22日 更新

拙い英語でもいい! 「自分」を相手に伝える力をつけよ

経済の見通しが暗い日本。すでに多くの国内企業が海外に活路をみいだし、ビジネス活動のグローバル化は加速する様相を呈している。ただ、多くの日本人経営者・幹部の「意識」がそのグローバル化の流れに追いついていないのもまた事実。

世界で通用するリーダーの育成は日本企業にとって喫緊の課題だ。そのグローバルリーダーの育成をまさにグローバルな事業として展開し始めたベルリッツのトップに、日本人経営者・幹部が心得ておくべきことを語ってもらった。<構成:齋藤麻紀子>

※本稿は、『PHPビジネスレビュー松下幸之助塾』(2012年5・6月号)より抜粋・編集したものです。

 

もはや「語学」だけではない

私は2008年4月、アメリカのプリンストンに本社をおくベルリッツコーポレーションのCEO(最高経営責任者)に就任しました。ちょうどビジネス界では急激なグローバル化が起こっており、「グローバル人材」を求める動きが加速していたころです。

創業130年の伝統ある語学学校として知られていたベルリッツも、こうしたビジネス界の要請に対応するため、グローバルに活躍できる人材(「グローバル人材」)を育成する教育機関に生まれ変わろうと、ミッションを新たに「グローバル・エデュケーション・カンパニー」としました。そして、そのための包括的で具体的なスキームも作成しました。

ベルリッツは今でこそ、多くの企業で「グローバル人材」育成のお手伝いをさせていただくようになりましたが、当初は私自身が30~40社にトップコール(社長はじめ役員クラス以上の人に面談のアポをとること)をし、直接訪問して、「御社の求めているグローバル人材とはこういう人ではないですか、それにはこういう教育をしたらどうですか」と、説明して回ったものです。

2010年に入ると、事業の具体的な成果が出るようになりました。その年にカジュアル衣料品店ユニクロを展開するファーストリテイリングとインターネット通販の楽天が相次いで「英語社内公用語化」を宣言して話題となりましたが、両社ともに、われわれベルリッツの提案した教育プログラムを採用しています。

これ以降、銀行や証券会社などの金融機関、ネット関連の企業などからの受注が相次ぐ一方、海外のベルリッツ、とくにアメリカほかメキシコ、ドイツ、フランス、ベルギーのベルリッツでも、「グローバル人材」育成の事業が軌道に乗り始めました。日本国内のみならず世界中の多くの企業が、それだけグローバル化に舵を切っているということです。

 

グローバル化に対する認識が甘い

グローバル化の流れは否応なしにやってきます。しかし、いまだにこの現実をよく認識されていない日本企業のトップの方にお会いすることがあるのも事実です。私が「グローバル人材」育成の必要性を訴えても、「国内でしか事業を展開しないから当社には関係ない」「いま社内で英語を使っていないので、英語を使い始めるとかえって業務の効率を下げてしまう」といった返答が返ってきます。

しかし、企業のトップが事業を展開するうえで考えるべきことは、「現状」ではなく「将来」のはず。日本の人口は今後右肩下がりという明確な予測があります。労働力人口が減るとGDP(国内総生産)が減ることすら考えられます。そんな国内のみで事業を続けて成長し続けることができるでしょうか。人口が減ることが明確な以上、グローバルな事業展開が必要なのは明らかです。

「大きなシェアがあるから大丈夫」という企業もあります。でも、グローバル化が進むと、国内のおいしい市場には、すぐに外国企業が目をつけます。そうなると、競争にさらされるか、買収対象になるでしょう。国内に留まっていられるのはいわゆる家族経営の「パパママストア」くらいではないでしょうか。

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