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「ひとは生涯に何回ぐらいさくらを...」茨木のり子の詩に託された“生きる喜び”

杉原梨江子(聖樹・巨樹研究家、ハーバルセラピスト)

2023年01月31日 公開

 

家族みんなで笑って過ごせる幸せ

「家で待っているのは、あなたが選んだ花(バラ)、あなたが選んだ音楽、あなたの微笑です」
オードリー・ヘプバーン(アメリカの女優、1929-1993)

30代後半で映画界から引退し、家庭に入ると決めたとき、記者たちに語ったのがこの言葉。家族のために犠牲を払い、キャリアを諦めたと考える人たちへの反論です。

「問題の多いこの世界で、私は家庭を楽しく朗らかな、安息の場所にしたいのです」と。

オードリーが心がけたことの一つは家の中を花でいっぱいにすることでした。スイスのトロシュナ村の「ラ・ペジーブル(平和の家)」と呼んだ家の庭。交互に住んだローマの小さな家の庭で、好きな花々を植え、育てました。とくに自慢はバラ。

朝、バラを摘んで食卓に飾ったり、時にはトーストのお皿に小さなバラを添えたり。バラは愛と献身、母性を象徴する花。彼女のアイデアは日常の中で家族に笑顔を届けるヒントをくれます。

少女時代は第二次世界大戦の最中。家を失い、食べ物がなくなり、チューリップの球根を粉にして食べるなど過酷な状況を生きのびました。命の危険と隣り合わせの日々を過ごした彼女にとって、家族みんなで笑って過ごせる毎日は奇跡のような喜び。

晩年まで貧しい国々に出向き、ユニセフでの活動を続けながら、庭づくりを楽しみました。

「庭に花や木を植えることは、明日を信じること」。家族と共有したいメッセージです。

◎バラの花言葉「幸せな家庭」
 愛する伴侶に、両親に、友人に。思わず笑顔になるバラをあなたの感性で選んで。

 

記憶力を高め、心を元気にする花

「ローズマリーの小枝をさした帽子は、魔法の力を与えてくれる」
ジュリー・アンドリュース(イギリスの女優、1935-)/『偉大なワンドゥードルさいごの一ぴき』より

淡い紫や青の小さな花を咲かせるローズマリー。イギリスでは"魔法の花"と信じられました。すがすがしい香りが記憶力を高めたり、心を元気にするからです。

美しい歌声で世界中の人々を魅了したJ・アンドリュース。ローズマリーは、彼女が書いた童話『偉大なワンドゥードルさいごの一ぴき』で重要な役割をする花の一つです。

"ワンドゥードル"は足の先にふわふわのスリッパを生やした不思議な動物。3人の子どもたちが遺伝学者サバント教授に導かれて、この動物を探しに冒険の旅に出ます。動物が住む国へは想像力を働かせないと行けません。

そこで教授が手渡したのがローズマリーをさした青い帽子。これをかぶれば、「どんなことにも成功するよ」と言って彼らを励ますのです。

ここぞという挑戦のときに力をくれるローズマリー。秋から初夏まで長く花を咲かせ続け、エールをくれます。小枝をハーブティーや料理に使う楽しみもある贈り物です。

この本には1枚の挿絵もありませんが、理由を「読者のみなさまに、自由に、想像力を発揮していただきたいから」と書いています(初版本/岩谷時子訳)。

想像力をかき立てれば"今までと違った次元で"花が見られる自分になり、夢に一歩近づくのです。

◎ローズマリーの花言葉「想像力」
 夢を追いかける人たちへ、ローズマリーの鉢植えを。

 

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