迷ったら、体に聞いてみよう
やろうとしていることが「いい習慣」か「やめるといい習慣」か、迷う場面もあるでしょう。しかし、確実に言えるのは、「迷ったり悩んだりしている時点で無理をしている」ということ。そんなときは、迷いが発生しない工夫をしましょう。
たとえば、夕飯の片づけをその日のうちにやったほうがスッキリするか、翌朝に回したほうがラクか、などは人それぞれです。「どうしよう」とモヤモヤするなら、調理と並行して食器を洗ったり、食洗機を買ったり、使い捨ての紙皿を使ったり、別の方法を探せばいいと思います。
それでも悩んだら、「体」に聞きましょう。心よりも体のほうが正直だからです。「やらなきゃ」と思ったときに、肩こりや頭痛、動悸などが起こるなら、やめたほうがベターです。
体調を把握するためにおすすめなのが、「セルフモニタリング」。私は日記帳に、その日の体調とメンタルが「10点満点中、何点だったか」を記録しています。疲労度や体調の推移を把握できるので、迷ったときの指針として役立ちます。
自分を責めずに、長い目で見て判断を
「やめたほうがいいのに、やめられない」「一度やめたことを、再開してしまった」というときに、自分を責めるのは禁物です。その心理の裏側には、「物事は順調に進んで当たり前」という思い込みがあります。
「川」をイメージしてみましょう。私たちの生活は、川の上で船をこぐようなもの。風向きによって、川の流れは変わります。ですから、ときには後退して当たり前なのです。たとえ後退したからといって、自分を責める必要はありません。
自分を責めないためには、コツがあります。後退している「今この瞬間」の状況だけを見て判断するのではなく、数カ月前、数年前に比べてどうか、と長期的な視点で考えるのです。
きっと、「去年は毎日お菓子を食べていたのに、今は食べない日もある」というふうに、少しずつ変化している自分を感じられるはず。
「3歩進んで2歩下がる」でも、結果的には前に進んでいるのですから、それで充分です。「よりよくしよう」という気持ちがある限り、また前に進むことができます。
【kagshun(カグシュン)】
心の病への理解を一般の人にも深めてほしいという思いから、現役精神科医としてSNSで発信を始め、2020年にはVoicyでの配信をスタート。精神医学や心理学、脳科学の知見を生かし「心を理解する情報」をわかりやすく伝えている。著書に『精神科医kagshunが教えるつらさを手放す方法 幸せになる超ライフハック』(KADOKAWA)がある。