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動く前に考えても意味がない...精神科医が説く「悩みグセ」をやめる方法

和田秀樹(精神科医)

2024年01月16日 公開

職場やプライベートの人間関係でトラブルを抱え、いつまでも悩んでしまう...そんな時はどうやって不安を解消すれば良いのでしょうか? クヨクヨと思い悩んでしまう人が、スッキリと気持ちを切り替える1つの方法を精神科医の和田秀樹さんが紹介します。

※本稿は、和田秀樹著『感情的にならない本』(PHP文庫)より、一部を抜粋・編集したものです。

 

一つのことにクヨクヨする人は平和な人かもしれない

わたしたちにはさまざまな災難が降りかかります。職場では人間関係のトラブル、仕事上のミスやアクシデント。家庭にいても子どもが病気をしたり親が倒れたり、近所とのいざこざ。

楽しいはずの友人とのつき合いにもトラブルが生まれ、電車に乗っても不愉快なことに出合い、それなら一人で閉じこもっていればいいかというとそこで寂しくなったりするのですから、この世はまさに災難だらけです。

でも、身の周りの災難をいちいち説明したり、顔に出して察してもらおうとする人はあまりいません。みんな表向きはなんでもなかったような顔をしています。そのために災難が降りかかっているのは自分だけと思いがちです。

「どうしてわたしにばかり、つぎからつぎにイヤなことが起こるんだろう」

そう思うと溜め息が出ます。

ところがよく考えてみると、ほとんどの災難はそのつど対処するか、あるいはやり過ごして乗り切っています。

ミスは謝る、病気は治す、いざこざはほとぼりが冷めるまで放っておく、つまらない因縁は無視する、中には手を打っても解決するまで時間のかかる災難もありますが、ともかくつらいのも苦しいのも腹が立つのもそのときだけで、どうするか決めればそれを実行して乗り切るしかありません。

しかも一つ乗り切ればつぎの災難がまた降りかかります。運の悪いときは朝から晩までトラブル処理に駆け回っていますから、「災難に巡り合うためにわたしは会社に来ているのか」とぼやきたくなります。

でもそういうときは、案外、元気なのです。職場にもいますね。つぎからつぎにトラブルが起こって、その後始末に奮闘している社員がいい例で、「いい加減にしてくれよ!」といいながらも飛び回っています。

そのとき、クヨクヨしているヒマなんかありません。だれかの責任をしつこく追及しているヒマもありません。とにかく動いて解決しなければいけないからです。

では、一つのことをいつまでもクヨクヨしている人はどうなのでしょうか?

むしろ、平和なのかもしれません。ほかの災難にふり回されることなく、小さなことでいつまでもクヨクヨできるからです。どんどん動いていろいろな災難に巻き込まれたほうが、クヨクヨしないでやっていけるということです。

 

イヤなことが起こってもいいからどんどん動く

小さなことでクヨクヨする人は、自分を責める傾向があります。たとえば約束を守れなくなって直前でキャンセルしたときには、相手に迷惑をかけた自分が悪いと思い込んでしまいます。

「Aさんはきっと怒っているだろうな。最初から断ればよかったのに、いまごろみんなにわたしの悪口をいいふらしているんだろうな」

そんな調子で自分の行動や態度を悔やみますから、気持ちを切り替えることができないのです。しかも「悪いのは自分だ」と考えれば、相手や周囲に対しても萎縮して動けなくなります。

この状態は、自分のイヤな感情とまともに向き合っている状態ですね。「感情は放っておけば収まる」という法則がありました。その法則にわざわざ逆らって、自分から悪感情につかまっている状態です。

そこでクヨクヨしないためには、災難を恐れずどんどん動くことです。動けばたぶん、イヤなことも起こるでしょう。

「図々しい人だ」とか、「反省してない」という人が出てくるかもしれないし、Aさんは白い目で見るかもしれないし、「ちょっとつらいなあ」と感じることだってあるかもしれません。

でもそれだけではないはずです。元気なあなたに声をかけてくる人もいるし、いつもと同じように冗談をいってくれる人、なにも気にしないで仕事を続けている人、要するにあなたをホッとさせてくれる人がいるのです。

もし、内向きになって自分のイヤな感情だけを見つめていれば、そういう人たちの存在にも気がつきません。ホッとすることもないのです。

たとえ一部の人がツンツンした態度で接したとしても、いいことと悪いこと、五分五分ですね。萎縮してイヤな感情に満たされてしまえば、いいことなんか一つもないのですから、動いたほうがはるかにましなのです。

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クヨクヨしてもしなくても、結果は同じ

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