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喫煙者は早死になのか? 60代で「続けて良いこと・やめるべきこと」

和田秀樹(精神科医)

2023年12月05日 公開

 

ラーメンは意外に健康的

外食もおすすめです。私は、ランチにラーメンの食べ歩きもしています。

ラーメンは「体に悪いもの」の象徴のように言われがちですが、それはひと昔前の話。今のラーメン店では、店によっては20~30種類の食材を使ってスープをつくっています。つまり、20~30品目入りのすばらしい栄養食なのです。トッピングを追加すれば、さらに品目数が増えます。

なお、私はなるべくスープまで飲み干すようにしています。私は低ナトリウム血症になりやすいので、塩分はむしろ必要でもあるのです。

みなさんも、「飲みたい」と感じるなら、飲んでいいと思います。それは、体が求めているということだからです。

誰でも加齢によって動脈硬化が起こるというお話をしました。固くなった血管で、酸素やブドウ糖を体中に届けるには、ある程度の血圧が必要です。体はそれを知っているから、塩分を欲するのです。その声に、素直に従いましょう。

つまるところ、「食べたいものを食べる」ことが、やはり一番なのです。

 

喫煙者だから早死にするとは限らない

タバコには、たしかに害があります。よく言われるように肺がんの原因になるほかにも、ニコチンには血管を縮める作用があるので、血流が悪くなります。体内に血がめぐらず、脳への酸素の供給も減ります。つまり、喫煙していると頭の働きが悪くなる可能性があります(人によっては冴えるようですが)。

一方で、最近、ニコチンにはアルツハイマー型認知症を防ぐ効果があるという研究結果も出ています。一概に、タバコは脳に悪いとは言えないのかもしれません。

もう一つ、意外性のあるデータを紹介しましょう。

浴風会病院で、高齢者施設の入居者を対象に、喫煙者と非喫煙者の病気や寿命の状況を10~15年にわたって追跡調査した結果、両者の「生存曲線」はほとんど変わらなかったのです。

生存曲線とは、「どれだけの年月が過ぎれば、どれだけの方が亡くなるか」を示した点をつないだ曲線です。つまり、喫煙者も非喫煙者も、余命に差がなかったということです。

30代や40代なら、将来の疾患リスクを減らすうえで、禁煙に意味があるでしょう。しかし、タバコを吸い続けて60歳になり、それで健康なのであれば、したいようにしていいのではないでしょうか。

「タバコは体に悪い」「副流煙があるから周りの人の体にも悪い」「臭いも迷惑」とさんざんな言われ方をして、喫煙できる場所の制限も厳しくなっていますが、非合法なわけではありません。20歳を超えていれば、誰でも吸う権利はあります。

吸うとリラックスしていい気分になれるなら、人に迷惑をかけないかたちで、それを楽しめばいいのではないでしょうか。

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無理な禁煙は免疫機能を低下させる

著者紹介

和田秀樹(わだ・ひでき)

精神科医

1960年、大阪市生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カールメニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、立命館大学生命科学部特任教授、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック(アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化したクリニック)院長。著書に、『医学部にとにかく受かるための「要領」がわかる本』(PHP研究所)、『老いの品格』『頭がいい人、悪い人の健康法』(以上、PHP新書)、『50歳からの「脳のトリセツ」』(PHPビジネス新書)、『感情的にならない本』『[新版]「がまん」するから老化する』(以上、PHP文庫)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『自分は自分 人は人』(知的生きかた文庫)など多数。

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