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江戸時代の健康書『養生訓』が説いた、現代にも通じる「薬」との付き合い方

貝原益軒(著),奥田昌子(編集)

2023年12月26日 公開 2023年12月26日 更新

 

養生せずに薬を飲んで治そうとするのは愚策だ

食べすぎた、飲みすぎたと言って消化薬を飲むのは本末転倒である。

度を越した飲食を敵軍、消化薬を自軍と考えてみよう。自分の領地に敵が侵入して荒らし回り、城に攻め寄せてきたとなれば、こちらも兵を出して防戦するしかない。けれども、腹の中で敵味方入り乱れて戦えば、敵を追い払うまでに自軍も多くの者が討死するだろう。

これを避けるには、敵兵をそもそも侵入させないようにするのが一番だ。節度をもって飲食すれば敵は攻めてこない。強い薬を使って胃腸を戦場にし、体力を無駄に消耗するのは愚かなことである。

 

高齢者が最優先すべきは食養生

古代の中国に、食生活を指導して病気を治療する食医という官職があった。食を通じた養生、すなわち食養生の大切さはいつの時代も変わらない。特に高齢者は胃腸が弱いので、薬を使うのはやむをえない場合にとどめ、食養生を最優先にすべきだろう。

 

年齢を重ねても、養生の道を固く守れ

若い頃にとても我慢強かった人が、高齢になってから短気で欲張りになって、人を恨み、面倒をみてくれている子どもを責めたり、くどくど文句を言ったりするなど、人が変わったようになったという話をよく聞く[*]。

高齢者は自制して人への思いやりを忘れず、寛大な気持ちで、楽しみをみつけながら日々を過ごすことだ。せっかく歩んできた養生の道を捨ててしまうのは馬鹿げている。

* 高齢者の性格変化の原因には単純な加齢のほかに、認知症や、脳梗塞をはじめとする脳の損傷がある。明らかな変化を認めた場合は専門医を受診するのが望ましい。

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思いわずらうと、いたずらに寿命が縮む

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