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江戸時代の健康書『養生訓』が説いた、現代にも通じる「薬」との付き合い方

貝原益軒(著),奥田昌子(編集)

2023年12月26日 公開 2023年12月26日 更新

 

食養生が最善の病気予防になる

病気でないなら余計な薬を飲んではならない。病気を予防するには、新鮮で体によく、おいしい食材を少しずつ食べて体力をつけるほうがはるかに有益だ。

高齢者も飲むのは必要な薬だけにして、引き続き食養生に力を入れよ。

 

薬は指示通りに飲まねばならぬ

漢方薬には、湯、散、丸など、いくつもの形がある。湯は生薬を煎じた液体のこと、散は生薬を細かく刻んで粉末にしたもの、丸は散剤を蜂蜜などで固めて粒にしたものだ。液体である湯は吸収がよく、固めて作る丸は吸収に時間がかかる。

そのため、食あたりや腹痛のように、すぐ効いてほしい病気には湯を、ゆっくり効かせたい病気には散を、もっとじっくり効かせたい病気には丸を用いる。また、湯は血液に溶け込んで全身で働くのに対して、散は胃のなかにとどまって効く。

これは漢方薬の話であるが、西洋薬も原理は同じだ。飲み込むように言われた薬を噛み砕いたり、口に含んで溶かす薬を飲み込んだりすると薬の効き目が変わってしまう。薬は指示通り飲むよう気をつけたい。

 

体質が違えば治療法も異なる

中国大陸の料理は和食とはまったく違い、どれも脂っこく、味が濃く、こってりしている。大陸の人は生まれつき胃腸が強いから、こういうものを食べても楽に消化できる。

しかし、日本人は若くて元気な人でも腹がつかえて具合が悪くなるだろう。日本人には、あっさりして負担にならない和食が合っている。両国の人の体がこれほどまでに違うのは、気候風土と食習慣が大きく異なるからである。

日本人は薬の服用量を大陸の人より減らすべきだと考えるのは理にかなっている。望ましい健康法や治療法を考えるには、体質の特性を知らなければならないということだ。

 

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