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「外出を嫌がり、家にこもる高齢者」に介護のプロはどう対応する?

大迫知信(原作・文 ),いしづかちなつ(マンガ)

2024年05月30日 公開 2024年12月16日 更新

外出を嫌がる高齢の家族。本当は出かけるのが好きなはずなのに、かたくなに出かけるのを拒むようになってしまったのは何故でしょうか? 本稿では、高齢の家族を外出に促すコツを、大迫知信さんが自身の体験、そして介護のプロからのアドバイスを紹介します。

※本稿は、『PHPくらしラク~る♪』2024年6月号より、一部を抜粋編集したものです。

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おばあ:松原文子(89歳)
1934年生まれ。大工の棟梁の夫と若い衆、子や孫に料理を作り続けてきた。近年パーキンソン病を発症し、孫の手助けが必要に。料理や介護に奮闘する孫に感謝しつつも、感想は率直で手厳しい。

孫:大迫知信(40歳)
脱サラ後、おばあが作るちょっと変わった料理に支えられ、念願だった物書きに転身。著書『おばあめし』(清流出版)を出版。おばあが台所に立てなくなってからは、自らが作る"まごめし"を出している。
・ブログ「おばあめし」 https://obaameshi.com/
・Instagram https://www.instagram.com/obaameshi/
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好きだった外出を嫌がるおばあ。原因は意外なこと!?

【介護のプロに聞いてみた】

――好きなはずの外出を嫌がります。

車イスに乗っている姿を見られるのが、苦痛なのかもしれないですね。特に元気なころからの知り合いには、衰えた姿を見せたくないんです。

私の祖母も車イスを嫌がり、杖をついてホームヘルパーの手を借りて散歩をしていましたし、父がデイサービスで通っていたのは、知り合いがいない遠くの施設でした。

ただ、お出かけすること自体を嫌がっているわけではないんです。うちの施設では、外出先として、公園のほかにショッピングモールが人気なんです。雨にも濡ぬれず、常に快適な温度でバリアフリーですし、賑やかな雰囲気の中、お店を見て回るだけでも楽しめますから。ヘルパーや介護タクシーを利用してでも、お出かけする方が多いですよ。

――おばあは買い物も好きなので、ショッピングモールに足を延ばすのもいいですね。知り合いがよくいる近くの公園に行くときは、どうすればいいでしょうか。

マスクをして帽子を深くかぶるとか、顔が見えないような工夫をするといいかもしれません。そんな"ちょっとの変装"では、知り合いには誰なのかバレてしまいます。でも顔が見えないようにしていると、放っておいてほしい気持ちが伝わって、ほとんどの方は声をかけない配慮をしてくれるものですよ。

――かたくなに嫌がっていたので、本当に出かけてくれるのか心配ですが...まずは"ちょっとの変装"やってみます!

協力:一由麻里
おばあと孫が暮らす大阪・四條畷市で90年続く福祉の会社、畷ケアサービス(ちよの里)を営む3代目。介護の問題に直面するおばあの孫の相談に乗っている。

マンガ:いしづかちなつ
京都芸術大学マンガ学科卒業。認知症をわずらった祖父の介護にあたった6年間をマンガにした同大学の卒業制作『ころがる毎日』で優秀賞を受賞。

 

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