読まれる文章を書くために「テクニック」より必要な能力とは?
2025年08月29日 公開
AIが台頭する時代に、私たち人間はどうすればオリジナリティのある文章を書けるのでしょうか。
文章コンサルタントの茨木彩菜さんは、読んでいて心が湧き立つような、温度感のある文章こそ人間が書くべきものであると語ります。
では、表現力を高めるにはどうすればいいのでしょうか。茨木さんの著書『文才ゼロでも書ける人になれる「国語力」の磨き方』より、そのヒントをご紹介します。
※本稿は、茨木彩菜著『文才ゼロでも書ける人になれる「国語力」の磨き方』(インプレス)より内容を一部抜粋・編集したものです。
読解力が上がれば表現力が向上する理由
書くことに困ったとき、一度は文章術の本を読みませんでしたか?納得しながら読んだはずなのに、いざ執筆すると、再現できているのか分からない......。
迷いが出るのは、「お手本」が見えていないからです。プロが書いた文章は、構成から一言一句にわたるまで計算されています。
初めはお手本になる文章を読み、リズムや型に慣れること。自分の書く力を測るためにも、まずは「読む力」を鍛えましょう。
私たちは「書くこと」に焦点を当てがちですが、その土台となるのは「読む力」です。正確に読めなければ、言葉の使い方や構成の仕方を学べません。
読解力が「型」を作る
分かりやすい文章を書くためには「型」や「構成」が必要になります。剣道や柔道、弓道などのスポーツには「型」が存在していますが、プロになると型の1つ1つを意識して体を動かすわけではありません。自然と「型」が身に付いているからこそ、スムーズに体が動きます。文章も同じで、「型」が頭に入れば、滑らかに書けるようになります。
説明の順序、説得力を持たせる言葉選び、心を動かす話の展開。意識すべき読み方が分かれば、どんな本でも、その筆者の文章スキルを学び取れます。逆に、読み方を知らないと、その型が身に付かず、「言いたいことがまとまらない」「話が飛ぶ」といった状況に陥ります。
読み方が分かるようになると、文章スキルを磨くために、どんな種類の文章を読むべきかが明らかになります。
・ニュース記事...要点を簡潔にまとめる方法が分かる。
・文学作品...情緒豊かな表現が分かる。
・ビジネス書...論理的で分かりやすい文章が分かる。
文章を書く行為は、材料を集めて1つのパフェを作り上げる作業に似ています。果物、アイス、フレーク、生クリームなどパフェにはいろいろな材料が入っていますが、1つのデザートとして調和が取れています。
プロの文章も同じで、さまざまな情報がありながら、筋の通った作品として仕上がっています。だからこそ、書くことに行き詰まったら、「どう読んでいるか」を見直すのが近道です。
書けない自分を責めるのではなく、読解力を磨くチャンスと捉えて、コツを学んでいきましょう。
文章を読み解く「マクロ視点」と「ミクロ視点」
「読む力」は文章全体を俯瞰する「マクロの視点」、一語一句を精査する「ミクロの視点」に分けられます。マクロだけでは文章の微細な調整が不十分で、ミクロだけにこだわると流れが悪くなります。両方の視点を鍛え、文章の見る目を養いましょう。
●マクロの視点とは
文章を俯瞰して読む力。文章の構造や主題(テーマ)を把握するために、広い視点で文章を読む方法。家づくりで言うと「骨組み」に当たります。
●ミクロの視点とは
1文1文の表現(語句、表記、読点の位置、文の長さなど)に注目して読む力。家づくりで言うと、「壁紙の色」や「装飾」など細かな部分に当たります。
家づくりは骨組みから始まりますよね。いきなり壁紙やタイルに凝り始めたら、棟梁に怒られてしまいます。でも、暮らしやすさだけでなく、おしゃれな家にも住みたいなら、細部へのこだわりも欠かせません。骨組みの立て方もベーシックなやり方ではなく、目的によって骨組みのスタイルを変えるのが、文章を磨く手段です。
文章を読むときに、マクロとミクロの視点を切り替えながら読めると、最後まで破綻しない構成でありながら、微細に工夫を凝らした文章が書けます。