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たった1分で心をつかむ! 「しつもん」会話術

松田充弘(質問家/カウンセラー)

2013年02月27日 公開 2024年12月16日 更新

『たった1分で心をつかむ! しつもん会話術』より》

「話さない力」を身につけよう

上手に会話を進め、相手の心をつかむために、みなさんにまず理解していただきたいことがあります。それは、私が「しなくていい7つのこと」と呼ぶものです。

1 話をしなくていい
2 理解しようとしなくていい
3 ぜんぶ聞こうとしなくていい
4 ネタを集めなくていい
5 台本を準備してもとらわれない
6 がんばらなくていい
7 期持しなくていい

これでなんで会話が上手になるの? 本当に心がつかめるの?

率直なご感想はそんなところだと思います。では、この7つを裏返してみましょう。すると、会話をうまく進めたいと思って多くの人が考えていることになるのがわかります。

「とんとんおもしろい話をして盛り上げなきゃ」
「相手の意見や考えをしっかり理解しよう」
「せっかく話してくれるんだから、ひと言も漏らさず聞かなきゃ」
「話題に因らないようにネタを仕込まないと」
「スムーズに会話を進めるために、話の流れを予習しておこう」
「第一印象か大事だから、いつも以上にビシッとしなきゃ」
「相手がノッてくれているか、反応が気になる」

いかがですか? 会話をうまく進めたいとお考えの方ほど、いくつか思い当たる節があるのではないでしょうか。

私はこれらはすべて誤った努力だと考えているのです。なぜなら、何年か前までの私自身が、こうしたことを考えていたからです。

私は、以前から話すのが苦手でした。

大勢の人の前でのスピーチ、初対面の人との会話、交流会などでのなにげない雑談。それだけならまだしも、友人・知人との飲み会などでも、心をつかむどころか、何を話せばいいのかすらわかりませんでした。

今では年間200回の講演をやらせていただいている私がこんなことを口にすると、みなさんは不思議に思われるかもしれません。本当にそうなのかと、疑われる方もいらっしゃるかもしれません。

でも、いまだに話すことは得意だとはいえません。

とはいえ、相手に何かを伝えたいという強い気持ちは持っていました。「話すのは苦手だけど、伝えたいことがある」という矛盾した気持ちです。

そんな私が「魔法の質問」というメールマガジンの配信を始めました。2004年のことです。それ以来、私の活動を多くの人が認めてくださるようになり、徐々に講演の依頼が増えていきました。

ところが、話すのが苦手なことを自覚するほどの私ですから、講演をうまくやる自信などまったくありません。危機感を覚え、勉強を始めます。

スピーチがうまくなるための方法が書かれた本を何冊も読んでみました。そこに書かれているテクニックを真似して、実際に練習もしてみました。でも、なぜか「うまくいっている」という実感からは遠いままです。

「僕は、“話す”ことに向いていないのかもしれない」

そこまで考えてしまった私は、別の道を模索します。

やがて行き着いたのが、話さない講演の仕方でした。まさに今、私が進めている「しつもん」を最大限に使う方法です。これが、「質問家」としての私の講演スタイルを決定づけました。

これまで、私がやらせていただいた講演は、1000回を超えています。ふだんの講演では、1時間のうち正味15分から20分しか話しません。残りの時間は、参加者のみなさんにしつもんを投げかけ、それに答えていただきながら進めています。

ですから、聴衆を惹きつけるようなネタ話はしませんし、決められた台本に沿って講演が進むこともありません。それでも、参加者のみなさんの声を聞くと、“話す”ことに力を入れていた頃より、ずっと満足していただけているのです。

こうした経験からわかったのは、人は話したいということです。

人は、相手の話を聞くよりも、自分のことを話したいという思いが強いものです。それは1対1で話をするときも同じです。

自分が話そうとせず、相手に話をしてもらう。
そのきっかけをつくる 問いかけ=しつもん を意識する。

これが、“たった1分で心をつかむ”ための大事なポイントなのです。いわば、私が本書で伝えたいのは「話さない力」を身につけてほしいということです。

相手の心をつかむためには、話術も交渉術も必要ではありません。あなたが自分から話そうとする時間はわずかでいいのです。

<本書 『たった1分で心をつかむ! しつもん会話術』 では、仕事やプライベート、あらゆるシーンですぐに使えるしつもんを豊富に紹介しています。ここでは、その一部をご覧ください>

 

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本音を引き出すしつもん 〔1〕ひとつ先を聞いてあげる

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