1. PHPオンライン
  2. くらし
  3. 休むより“軽く動く”ほうがスッキリ! 医師が教える「疲労を回復する裏技8選」

くらし

休むより“軽く動く”ほうがスッキリ! 医師が教える「疲労を回復する裏技8選」

市原淳弘(東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科教授)

2026年02月06日 公開

休むより“軽く動く”ほうがスッキリ! 医師が教える「疲労を回復する裏技8選」

「寝ても寝ても疲れが残っている...」そうした経験をした方も多くいるかもしれませんが、実は最新の研究で、ただ単に長く寝るだけでは疲労を回復できないことが明らかになっています。

「疲れは動かない時間が続くほど体にたまるため、"軽く動く"ことが大事」と語るのは、東京女子医科大学 で高血圧・内分泌科教授を務める市原淳弘氏。本稿では、現代人が抱える疲れの質、その疲れをとるための方法を紹介します。

※本稿は、市原淳弘著『疲れとり大図鑑』(世界文化社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

体内時計は“24時間ピッタリ”じゃない!

人間の体内時計は、実は地球の自転と同じではなく、約24時間と12分あります。つまり、何もしなければ毎日12分ずつズレていくのです。朝に光を浴びず、夜に不規則な生活を続けていると、体内リズムは1週間で84分も後ろにズレていき、これが続くと夜更かしの完成です。気づいたら「最近、23時に寝られなくなった...」なんてことに。

このズレは、一晩寝るだけでは戻らないのが、体内時計の厄介なところです。体内時計のズレを戻せる速度は、理論的には1日で1時間が限界。1時間半のズレを戻すには1.5日~2日ほどかかる計算になります。

実際には、起きる時間、寝る時間、朝ごはんなど、さまざまな要因で体内時計をコントロールするため、1時間半のズレを完全に修正するには、倍近い時間──つまり、1週間近くかかることもあります。

たった12分のズレでも、油断すれば、1週間で「オーストラリア帰りぐらいの時差ボケ」になり、その修正にまた1週間かかる、という"蓄積型の不調"につながるわけです。

 

寝ても疲れがとれないのは、昔の疲れと現代の疲れの“質”が違うから

昔の人の疲れは、体をよく動かす中で「酸化物質」や「アンモニア」が一時的にたまるのが原因でした。でも毎日歩いて体を使っていたため、乳酸をエネルギーにリサイクルする力も高く、寝ればスッキリ元気になれたのです。

現在は座りっぱなしの時間が長く、乳酸を燃料として使えないまま体に残しがち。そこに炎症物質やサビ(酸化ストレス)が重なって、「休んでもだるい」状態が続くのです。実は乳酸は"疲労物質"ではなく、脳や心臓の大事なエネルギー源。

しかも動くと乳酸が再利用される過程で、余分な疲労物質を一緒に掃除してくれます。だから現代人の疲労回復は「とにかく動くこと」。乳酸を味方につけて、体の中のお掃除を。

【ソファでぐったりvs軽く走る人、回復後のパワーは7倍差!】

ゴロ寝より、軽く体を動かしたほうが回復は速いです。リサイクル燃料となる、乳酸の処理は15〜25%スピードアップ。回復後のパワーも7倍も維持します。さらに筋肉ダメージや炎症の回復も15〜25%早いのです!つまり"休む=ちょこ動き"が効率的なのです!

 

知ってトクする疲れとりの新常識8選

①呼吸数が2倍以上に!浅い呼吸が脳を疲れさせる

理想は1分間に6回前後の呼吸。江戸時代は6〜10回と深く、ゆったりした呼吸でした。現代は12〜20回と、速すぎて酸素利用効率が落ちている状況。現代人は口呼吸・胸式呼吸が多く、浅く速い呼吸に。ゆっくり呼吸を心がけてください。

②たった6分で脳が目覚める?

従来は「疲労回復には長めの有酸素運動が必要」とされていました。ところが今では、わずか6分の中強度運動でも脳を覚醒させるノルアドレナリンが増加することがわかってきました。研究では、息が弾むけど会話できる速さ(最大心拍数の70%程度)での早歩きや自転車運動で、記憶の定着が20〜30%向上します。大切なのは「適度な強度」。激しすぎはNGです。

③ブルブル振動ケアで眠りがぐっと深まる

マッサージチェアやハンディマッサージャーのブルブル刺激は血流を促し筋肉をほぐします。乳酸など疲労物質の排出を助け、副交感神経を整えてリラックスを促すこの"振動ケア"は新しい方法として注目され、数分行うだけで眠りが深まることが報告されています。

④順番を間違えると回復を遅らせる温冷ケア

これまで運動後は「とにかく冷やす」が常識でした。ところが実は逆で、直後は温めて血流を促し、翌日に冷やすほうが炎症を抑えて回復が速まります。順番を誤ると回復効率は落ち、筋肉の治りも遅れるという報告が。温冷の使い分けを知らないと、せっかくの努力が水の泡になるのです。

⑤疲労は"中くらい"の運動で差がつく!

従来は乳酸を"流す"ために軽いジョギングなどの有酸素運動が勧められていましたが、実は乳酸は脳や心臓の燃料。休むより軽く動くことで回復します。さらに効率よく疲労を抜くのは、息は上がるが会話はできる程度の"中強度"。乳酸が燃料に回り、疲労は約5割以上減少、活力は約2割以上向上したというデータがあります。

⑥たった1分の早歩きで脳の疲労が抜ける?

「短時間では効果がない」と思われがちですが、実は数分の歩行でも脳の血流や酸素供給はすぐに改善し、乳酸がエネルギー源として活かされます。最新研究では、2〜3分の軽い歩行で主観的な疲労感が小程度ながら改善し、注意力や実行機能は約5〜15%向上したと報告されています。長くなくても、数分歩くだけで頭の重さがすっと抜けるのです。

⑦夕方の軽い運動で睡眠が約30分のびる

これまでは夜の運動は睡眠によくないとされてきました。ところが最近の研究では、夕方にこまめに数分の軽い自重運動を足していくだけで、その夜の睡眠が平均で約30分長くなることがわかっています。短い動きでも"眠りの量"を増やせれば、疲労回復に直結します。

⑧疲労は"休み方"で差がつく長い休憩より短い休憩が効く!

疲れは"長く休むほどいい"と思われがちですが研究では逆の結果に。30分休むより、2〜3分の小休止をこまめに挟む方が疲労感は下がり活力も戻りやすいのです。しかもスマホを見るより、首回しや深呼吸を加えた休憩のほうが効果的。休み方次第で疲労の抜け方が変わります。

著者紹介

市原淳弘(いちはら・あつひろ)

東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科教授

東京女子医科大学 高血圧・内分泌科教授。日本高血圧学会理事・評議員、日本内分泌学会評議員なども務める。慶応大学医学部卒。高血圧や内分泌疾患を診る専門医として数々の実績を重ねてきた国内屈指の存在。内分泌疾患や、高血圧を「管理する」から「治療する」、病気に変える挑戦を続けている。併せて、企業との連携で減塩食の開発に携わったり、市民向けの講座を開いたりと、様々な活動を展開。メディアでも数多く取り上げられ、反響を呼ぶ。著書に『血圧リセット術』(世界文化社)。

関連記事

アクセスランキングRanking

$(function(){ var imageCount = 1; // image 総数 var page_url = '/article/13591'; var showLink = true; });