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生き方

なぜ「考えすぎ」が止まらないのか 心配事と決別する方法

チェイス・ヒル

2026年05月15日 公開

夜、布団に入ったのに眠れず、その日の出来事について思い悩むことがありますか?自分の選択はどれもこれも間違っていたんじゃないかと、しょっちゅう後悔していますか?仕事、友人関係、人生のすべてが手に負えないと感じますか?

ぐるぐるぐるぐる「負の思考ループ」が止まらないという問題は性格ではなく止められるとチェイス・ヒル氏は言います。

同氏による世界的ベストセラー『「考えすぎてしまう」が一瞬で消える法』によると、その原因は認知の歪みだといいます。秒で「考えすぎない人」に変わるための知見を同書の著者に教えてもらいました。

※本稿は『「考えすぎてしまう」が一瞬で消える法』(SBクリエイティブ)を一部抜粋・編集したものです。

 

認知の歪み

まず、認知の歪みについて紹介し、認知の歪みを頭から消し去ることはなぜ難しいのかについて説明します。それから脳内の歪みを正す手法を実践します。

認知の歪みとは、恐怖や不安をコントロールするために私たちが利用する長期的な習慣や誤った思い込みによってもたらされた、不合理な思考パターンです。

ですがこれは、気持ちを楽にしたいがゆえに作られた、不合理で不要な「安心毛布」または「安全網」なのだということを認識すべきです。認知の歪みの例を次に紹介します。

●全か無か思考(0か100か思考)

白黒思考です。その中間や妥協は存在しません。
「誰かに『あなたは成功しない』と言われた。絶対そのとおりだ」

●一般化のしすぎ

ひとつの結果があらゆる結果に当てはまると考えます。
「あの仕事に就くことができなかった。私はダメ人間で、もう二度と仕事にありつけない」

●ネガティブにのみ考え、ポジティブ思考を避ける

ある状況においてポジティブな面を見ようとせず、ネガティブな面だけに焦点を当てることです。
「最後の問いだけ間違えてしまった。私はものすごくバカに違いない」

●ある出来事でのポジティブな面には意味がないと言い訳する

いいことが起きて、それを目にしたとしても、言い訳をします。
「雇用主の前ではかなりうまく自分をアピールできたけれど、たまたまあちらの機嫌がよかっただけだろう。だから、この職に就くことはできないはずだ」

●誤ったネガティブな予測をする

根拠もないのに、将来起きることを予測します。
「絶対に悪いことが起きると確信している」

●最悪を予期する

結果について大袈裟に考えすぎたり、何か恐ろしいことが起きるはずだと自分に言い聞かせたりします。
「電車が遅れている。きっと故障したんだ。何もかも遅れてしまう。予定に間に合わないから、クビになるだろう」

●「べき」思考と「べきでない」思考

自分の考える「すべきこと」と「すべきでないこと」が思いどおりにいかないとき、自分を責めます。
「何が起きるか把握しておくべきだった。私は何ひとつうまくやれない」

●失敗に基づいて自分にレッテルを貼る

何かを間違えたから、あるいは自分や他の人をがっかりさせたため、こう考えます。
「私は二度目のチャンスには値しない。いつもこうなるのだから。私は恥ずべき存在だ」

●コントロールできない物事の責任が自分にあると思い込む

「祖母の花瓶が割れたのは私のせいだ。息子をしっかり見ていなかったし、注意していなかったのだから」

過剰に心配することをやめるのは、なぜこれほど難しいのでしょうか?こうした認知の歪みがあることにまったく気づいていないのかもしれません。

多くの人が、過剰な心配や病が生じるずっと前からこのような考え方をしています。心配することで問題を解決したり将来的な問題を阻止したりできると思い込んでいるのです。

しかし、心配しても何の解決にもなりません。唯一の解決策は、効果的なスキルを身につけてネガティブ思考を回避することです。心配するのをやめることは何より重要です。

なぜならそれは「心配することは役に立つ」という考えを捨てることだからです。

 

心配と決別する方法

心配事があると、ますます夜眠れなくなり、免疫力が低下し、PTSDになる確率が高まり、若くして命を落とす危険が増すことが証明されています。それでも人間は、人生で起きる特定の物事はコントロールできないのだという単純な事実を受け入れられないものです。

だから、自分が下したありとあらゆる選択や意思決定をむし返すか、コントロールできないことが受け入れがたいと感じます。

さらに、完璧主義者や「コントロールフリーク」になって、気分をよくしようとします。

しかし、何もかもをコントロールしたり完璧にしようとしたりすることで、気分はよくなるでしょうか?答えが「いいえ」なら、自分の脳をポジティブにコントロールする方法を学びましょう。

●「心配タイム」を設定する

心配していい時間を設定しておけば、心配が生まれたとしても、今は考えるひまがないけれど後で時間を作って問題に対処するのだと自分に言い聞かせることができます。

この「心配タイム」は、夜に布団に入る直前や、夕食を作るときなどの忙しい時間帯に設定しないようにしてください。また、1時間以上はとりましょう。そうすれば、たっぷり時間を使ってすべての悩みに対処し、効果的な解決策を考えつくことができます。

 

心配タイムにすべき2つのこと

「心配タイム」は瞑想やリラックスする呼吸法で締めくくるとよいでしょう。

①思考を認識する

日中に心配事が生まれて、それが頭から離れないなら、紙に書き出して認識しましょう。その思考を避けたりどこかへ追いやったりしないでください。そんなことをしても、ますます頭から離れなくなり存在感が増すだけです。悩みはどこにも行かないのだということを受け入れ、前に進みます。
悩みについてあまり考えすぎないでください。そこに存在していることをただ認識します。「心配タイム」になったら、日中に書いたメモを見て、まずその心配事について考えましょう。

②書き出す

日記をつけます。この手法が効果的なのは、忙しい日に心配事について考えようとしても、ほとんどの場合、論理的または合理的にとらえられないためです。
日記に心配事を書くと、気持ちを発散できるだけでなく、自分の思考パターンを確認することもできます。それから、ネガティブな思考を抜き出してポジティブな思考と入れ替えます。
また、書くことで悩みを包括的にとらえ、次に何をすべきかについて、よりよい知見を得られます。

 

マインドフルネスを実践する

マインドフルネスとは、意識的に今この瞬間に存在することです。赤い色(でも他の色でも)を見て、この部屋に赤いものはいくつあるか数えることです。何かを飲んだり食べたりしているなら、その何かの味、舌触り、におい、外見に完全に集中することです。

心配事が生まれても、それを細かく分析したり、判断したり、不安になったりしないでください。この心配事は思考にすぎず、それ以上でもそれ以下でもないのだと理解します。

この思考についてとるべき行動はなく、感じるべき感情はなく、すべきことはひとつもありません。ただ思考がそこにあることについて、マインドフルになりましょう。

これが難しいなら、専門家の助けを得るか、このプロセスについて詳しく説明している動画をインターネットで探してください。

 

エクササイズ

あらゆる研究で、メンタルヘルスの病は胃腸に起因する可能性があると示されています。
身体にいい健康的なものを食べると、より多くのエネルギーを得られます。より多くのエネルギーを得ると、ワークアウトやエクササイズなど、このエネルギーを発散するための生産的な方法を見つけられます。

マインドフルなジョギングをしたり、リラックスできるヨガのクラスに通ったり、自宅でエクササイズをしたりしましょう。ルームランナーなどでのランニング、スクワット、腕立て伏せを試してみましょう。ボクシングのクラスに申し込んだり、スポーツチームに参加したりするのも良策です。

また、血の巡りがよくなり心拍数が上がれば、心配事に割くことができる精神的エネルギーが減り、夜はよく眠れるようになります。

 

自分がコントロールできないことを覚えておく

この手法がもっともうまくいくのは、セラピストやガイダンスカウンセラーの助けを得たときです。
何らかの理由があって自分だけで試してみたいときは、何をコントロールできるかを確認し、コントロールできないことを手放してください。

たとえば、誰かの行動はコントロールできませんが、誰かの言動に対する自分の反応やそれについてどう考えるかはコントロールできます。

誰かと向き合うときは、これがほとんどの状況に当てはまるのだということを理解しましょう。

 

恐れを評価する

心配があまりに大きくなったら、一旦立ち止まって根本原因を見つけましょう。ほとんどの場合、心配は何かが起きるに違いないという恐怖から生まれます。恐れは、まだ認識していない心配から芽生えるものです。

「私は未来を予測しているのだろうか? 次に起こることを自分が処理できないかもしれないと考えているのだろうか?」と自分に問いかけてみます。

往々にして、私たちはコントロールを握って状況に対処するという自分自身の能力を過小評価しています。

ときには恐怖に直面し、自分の考えに疑念を抱き、起こることをそのまま受け入れなければなりません。とはいえ、状況は予想していたほどひどくない場合が多いのです。

 

瞑想を練習する

瞑想は、とても効果的なリラックス法のひとつです。リラックスしているとき、脳はたやすく緊張をほぐし、シャットダウンできるようになります。

多くの瞑想は呼吸に焦点を当てています。瞑想を通じて、どうやって効果的に呼吸するか、どこから息を吸って吐くかを学ぶと、外出時にどのように呼吸しているかをしっかり認識できるようになります。
瞑想はただちに悩みを和らげてくれるわけではありませんが、徐々に心の安らぎを感じられるようになります。

気持ちを落ち着けるための応急処置にはならないものの、長期的には脳をトレーニングしてストレスの多い状況にうまく対処できるようになる、効果的な解決策です。

脳がおだやかだと、心は幸せで落ち着きます。心がおだやかだと、生活もおだやかになるものです。

 

ポジティブなひとりごとを心がける

脳がしつこく心配事をうったえるのは、これまでストレスの多い物事を乗り越えてきたにもかかわらず、あなたが自分自身を信頼していないことを意味します。

パニックになったらこのように考えましょう。

「私はこれよりずっと厳しくひどい状況を乗り越えてきた。だから、今直面していることにしっかり対処できる」

疑念に満ちた思考を、健全な言葉に置き換えてみて、すばやく「今、ここ」での安心を得ましょう。
もしも「できるかどうかわからない」と考えているなら、「必ずできるとわかっている」という考えに置き換えましょう。

「相手に偏見を持たれなければいいけれど」と考えているなら、「私には自信がある」や「私は柔軟だ」に置き換えましょう。

自分自身に言い聞かせるポジティブな言葉は、たとえ心から信じていなかったとしても、より頻繁にそう考えるようにすれば、脳はそれを信じるようになります。

 

心配を事実と置き換える

過去や未来について悩んでいるなら、自分にあるのは今この瞬間だけなのだということを思い出してください。昨日はコントロールできないし、明日を予測することもできません。心配や恐れを事実と置き換えると、落ち着いて今この瞬間に存在できます。

多くの場合、私たちはコントロールできないことがらについて心配したり、未来を予測しようとしたり、今起きていることについてあまりに多くのストレスを感じたりしています。

会議に出席していて、自分は成功できないだろうと考え始めたら、自分にこう言い聞かせます。

「私を見て。今のところうまくやっている。もし失敗したらやり直せるし、必ずやり直す」

ポジティブ思考を徹底し、心配を事実に置き換えると悩みは減り、いずれ意識しなくてもポジティブに考えられるようになります。

 

「もし」に意味はないが、「どうすれば」には意味がある

「もし家が燃えてしまったらどうしよう?」「もし何か忘れていたらどうしよう?」と考えることがあります。

その代わりに、「家が燃えてしまったらどうすればいいだろう?」「何か忘れていたらどうすればいいだろう?」と考えましょう。

「もし」を「どうすれば」に置き換えると、どのような変化が生まれるかわかりますか?「もし」の心配事は大袈裟で、不合理で、非論理的なことがほとんどです。

 

未知を受け入れる

私たちは誰でも未知に直面します。そのせいで、コントロールできない物事にストレスを感じることがあります。なぜなら、何が起きるかわからないからです。あまりに多くの人が「ありとあらゆることを知って、ありとあらゆる計画を立てなければならない」と考えています。

ただその場に存在するという作戦を立ててみましょう。予想外の出来事はつきものなのだから、最善を祈り、それ以上は期待しないようにしましょう。

このSTEPの内容をまとめると、心配は恐怖につながり、恐怖は不安につながります。不安になると論理的に考えられなくなり、頭が心配事でいっぱいになって、コントロール不可能な思考のスパイラルへと追いやられます。

心配しすぎる脳を乗り越えるために紹介した効果的な手法を使えば、不安が減ったことに気づくはずです。

悩みに対処し、心配を完全にやめるには、やる気、時間、忍耐、そしてたくさんの練習が必要です。一晩でできるようになるわけではありませんが、脳のトレーニングに専念し続ければ、この悪夢のトンネルの反対側から光が差し込みます。

脳で何が起きているのかを説明する科学的研究や調査にかかわらず、健康的な習慣を身につけてネガティブなパターンと距離を置くと、脳は成長します。やがて、脳内に新しい神経のつながりが生まれて、心配を引き起こす状況を直感的かつ建設的に処理できるようになるのです。

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