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スザンヌさんはなぜ熊本に? 「東京にいる未来が想像できなかった」シングルマザーの決断【前編】

スザンヌ(タレント)

2026年05月20日 公開

2007年、フジテレビ系『クイズ!ヘキサゴンII』で“天然キャラ”として大ブレイクし、お茶の間の人気者となったスザンヌさん。その後、結婚、出産、離婚を経て、現在は熊本を拠点にタレント活動を続けながらアパレル事業や旅館経営にも挑戦しています。今年、息子さんは中学校に入学しました。決して順風満帆ではなかったシングルマザーとしての子育ての日々、そして子離れとともに芽生えた新たな挑戦への思いを聞きました。(取材・文/吉澤恵理、写真/スザンヌさんInstagramより)

 

24歳で母に。「結婚や出産がなくても、どこかで違う道に進んでいた」

大ブレイク後、芸能活動が多忙を極めるなかでの結婚と出産。当時について聞くと、「結婚や出産への不安はなかった」と振り返ります。

「24歳くらいだったと思うんですけど、結婚して子どもを持つことが夢でもあったので、このタイミングが自分にとってはベストなんじゃないかなって思っていました」

近年はSNSなどでも、「キャリアか、出産か」という議論が話題になりますが、迷いはなかったと当時を振り返ります。

「当時は、ずっと同じ働き方を続ける未来は想像していなかったですね。

体力的にも精神的にも、ずっとあの忙しい状態を続けていくのは難しかったと思うんです。

結婚や出産がなかったとしても、どこかで違う道に進んでいた気がします」

 

「赤ちゃんって、もっと寝てくれるイメージだったんですよ」初めての育児で気づいたこと

しかし、結婚して母になってみると、実際の子育ては想像以上に大変でした。

「赤ちゃんって、もっと寝てくれるイメージだったんですよ。でも本当に全然寝なくて。置いたら泣くし、ずっと抱っこで。『聞いてたのと違う!』って思いました(笑)」

夜中もほとんど眠れない日々。ちょうど北京オリンピックの年で、赤ちゃんを抱っこしながら夜通しテレビを見ていたといいます。

「本当に夜中もずっと起きていたので、あんなにオリンピックを見た年はなかったですね」

初めての育児。眠れない日々。慣れない子育てへの不安。支えになったのが、お母さんでした。

「母が夜まで仕事をしていたんですけど、疲れてるはずなのに、帰ってきてから私の話を聞いてくれました。話すだけでもすごく気持ちが楽になったんです。

今振り返ると、母は本当に大変だったと思います。でも、その時に母が自分の小さい頃の話をしてくれたり、一緒にご飯を食べたり、そういう時間にすごく救われていました」

 

離婚を経て選んだ「熊本で子育てする」という決断

その後、離婚。シングルマザーとして息子さんを育てていくことになります。

東京に残るのか、それとも熊本に戻るのか――。

周囲からは、「仕事を考えたら東京の方がいい」という声も少なくなかったそうです。

ですが、スザンヌさんの中には、強い思いがありました。

「子どもと二人で東京で生活している未来が、どうしても想像できなかったんです」

東京で暮らせば、仕事は続けやすいかもしれない。でも、その分、子どもを預ける時間も長くなる。

「やっぱり、親や兄弟、友人達がいる熊本で育てたいなって思いました。何かあった時に頼れる人が近くにいる安心感って、本当に大きいと思ったんです。

事務所に『熊本に住みながら、仕事の時に東京へ通う形でもいいですか』と相談すると、『それでもいいよ』と言ってもらえて、熊本に帰る決断ができました」

さらに、自身が育った環境も、大きな理由のひとつでした。

「私は熊本の公立の小学校、中学校で育ったので、子どもにも受験よりも、もっと自然の中でのびのび育ってほしいなって思ったんです」

 

毎朝泣いていた息子。教室まで送る日々を支えた友達の言葉

実際、息子さんは熊本でのびのび成長していきました。ですが、小学校低学年の頃は、毎朝学校へ行くのを嫌がった時期も。

「本当に毎朝泣いてました。理由は、『ママと一緒にいたい』という(笑)。玄関まで送ると帰ってきちゃうので、教室まで一緒に行っていました。

当時は、『このままで大丈夫なのかな』と不安になりましたね。

でも、教室に行くと、女の子のお友達が、『わかるよ、ママがいいよね。でも頑張ろう』って手を引いてくれて。本当に助けられていました」

それでも、子どもは少しずつ成長していきます。

高学年になる頃には、ランドセルを玄関に置いた瞬間に遊びに飛び出していくほど元気になったそうです。

「今度は逆に、『いつ帰ってくるんだろう』っていう感じでした(笑)」

その姿を見て、嬉しさと同時に、少し寂しさも感じるようになりました。

「ずっと二人で生活してきたので、子どもが友達の世界を広げていくと、嬉しいんだけど、ちょっと寂しい気持ちもあって」

 

「このエネルギーをどこに向けたらいいんだろう」子離れと、自分の人生

子ども中心で走り続けた日々ですが、子どもが成長するにつれ、自分自身の人生についても考えるようになっていきました。

「子どもはどんどん友達の世界が広がっていく。でも私は、ずっと子育てに全力を注いできたので、このエネルギーをどこに向けたらいいんだろうって思うようになったんです」

その思いが、高校への再入学、大学進学、そして起業へとつながっていきます。

「子どもの成長を応援したい。でも、自分も子離れしていかなきゃいけない。だから私も、新しいことを学んで、やりがいを見つけたいと思いました」

母として必死に駆け抜けてきた時間は、終わりではありませんでした。子どもの成長とともに、スザンヌさん自身もまた、新しい人生を歩み始めることになります。

中編では、高校への再入学、大学進学、そして卒業論文「地域創生と旅館再生」へと続く学び直しの日々について聞きました。

著者紹介

スザンヌ(すざんぬ)

タレント・モデル

1986年、熊本県出身。本名・山本紗衣。福岡でモデル・ローカルタレントとして活動後、2006年に上京。2007年、フジテレビ系『クイズ!ヘキサゴンII』に出演しブレイク。2015年に離婚を経て熊本へUターン。その後、高校通信制課程を卒業、日本経済大学経営学部に入学し、2026年に卒業。2024年12月、熊本・河内町の老舗旅館をリノベーションした「KAWACHI BASE -龍栄荘-」をオープン。株式会社yama代表取締役。

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