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歴史街道2011年4月号書評から

『歴史街道』編集部

2011年03月04日 公開 2022年08月17日 更新

『定本 徳川家康』

本多隆成 著
これぞ、戦国史研究最前線!
 近年、徳川家康に関しては、特に武田氏との攻防戦や関ヶ原合戦前後の動向における研究の伸展が著しい。本書は、それ以外の新説も網羅し、検証を加えて家康の生涯を詳説したものである。研究成果が把握でき、戦国史の最前線を味わえる。(村)

『東京影同心』

杉本章子 著
幕臣たちの明治維新を描いた時代小説
 明治維新の前年に、南町奉行所定回り同心となった弥一郎。維新後、職を辞すが、新しい時代の波に乗って生きる同僚や身内を尻目に引き籠る。信ずる後ろ盾を失った幕臣たちが気持ちにけりをつけて生きていく姿は現代と重なり、心打たれる。(後)

『沈没船が教える世界史』

ランドール・ササキ 著
「海底の財宝」から辿る歴史の真実
 往時の姿を留め「タイムカプセル」にも喩えられる沈没船。そんな海底の財宝を発掘し、真実を解き明かすのが本書で紹介する水中考古学だ。その学者である著者が海底に潜り、中国唐代の船を探索する姿には、ロマンを感じずにはいられない。(水)

『川跡からたどる江戸・東京案内』

菅原健二 編著
時空を超えて「水の都」へ
 京橋、新橋、数寄屋橋...。今に残る地名が物語っているように、江戸・東京の町はかつて舟が盛んに行き交い、人々が水辺に憩う「水の都」であった。高度経済成長期を経て消えてしまった川の跡を辿ってみれば、古きよき時代の面影が甦ってくる。(佐)

歴史街道 2011年4月号

坂本龍馬の師であり、また西郷隆盛との阿吽の呼吸で江戸無血開城を成し遂げたといわれる幕臣・勝海舟。しかし、実際の西郷との交渉はそのような美談ではなく、ぎりぎりの状況下で勝が打った手が奏功した結果でした。幕末から明治にかけて、勝ほど孤独な戦いを続けた男はいません。薩長からは警戒され、幕臣からは徳川を売る奸臣と罵られ、旧主からすら敵に近い者と疑われました。誰ひとり理解者がいない中、しかし勝は自らに課した戦いを断じてやめようとはしませんでした。なぜならそれが、「公」のため、近代国家日本のためと信じたからです。勝のたった一人の戦いが現代人に訴えかけるものは何か、そして、勝が目指した近代日本の姿を探ります。第二特集は「『ばさら!』佐々木道誉」です。

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