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Voice書評から

『Voice』編集部

2010年11月13日 公開 2022年08月17日 更新

『「日本品質」で世界を制す!』

遠藤 功 著
トヨタのリコール問題をみるにつけ、これまで他国の追随を許さなかった日本企業の「品質」に黄色信号がともっている、とみる向きは多い。アジア勢を中心とする新興国が品質に力を注ぎ、キャッチアップが積極化するなかで、日本企業がめざすべき品質そのものをダイナミックに進化させねばならない、と著者はいう。「『情緒的品質』が日本の生命線」「『品質創造本部』を立ち上げよ」など、その進化を推し進める具体的な戦略を本書は説く。再び日本が世界に冠たる品質大国の座を取り戻すため、多くの学びがある1冊。(T・F)

『床屋の真髄』

米倉 満 著
大正7年創業の理容店・米倉。銀座の名店として歴史を刻み、数々の名士たちに愛されてきた。著者は創業者の孫で、現社長。自らも毎日、鋏を握るなかで会得した「極意」と、さまざまな一流人の素顔を語った1冊である。
 著者のまごころのこもった話から立ち上るのは、「真の上質さ」。理容師の一挙手一投足に、ここまでの技と想いが込められていたのかと胸打たれるとともに、このような「上質さ」を積み上げてきた日本の凄さをあらためて思い知る。ほんとうの贅沢と愉悦を教えてくれる、いま必読の書。(K・T)

『at Home』

本多孝好 著
家族を題材とした、4つの 短編小説。普通の家族のようで、それぞれが心に〝しこり〟を抱える表題作では「家族を守るって決めたんだ!」と叫ぶ少年の姿、それを守ろうとする家族の姿が、胸を打つ。また、2編目「日曜日のヤドカリ」では、父娘の微妙な距離感を、ほのぼのとした温かみのなかに毅然とした個性を光らせ、引きこんでいく。一緒に住んでいても、血がつながっていても、家族とは限らない。家族の絆とは、つながりがなくとも、それぞれが築き上げていくものなのだということを教えてくれる。(M・T)

『日本サッカー現場検証』

杉山茂樹 著
2010年W杯南ア大会のベスト16入り、ザッケローニ新監督のもとでの対アルゼンチン親善試合の勝利......日本サッカーは突如強くなったようにみえるが、はたして本当か――。本書は、W杯南ア大会での試合をベースに、日本代表、さらに強豪アルゼンチン、ブラジル、スペイン等の戦略と結果の関連を独自の視点で斬り、いまの日本サッカーの真の実力を検証する。
 日本代表に対し、つねに「おべんちゃら」しかいわない日本のマスコミ報道とは一線を画し、著者が放つ厳しい言葉からは、世界レベルの現実がうかがい知れる。(E・T)

『クルマ社会・7つの大罪』

増田悦佐 著
米ドルの金融市場での信用不安が、いよいよ加速してきた。覇権国・アメリカは、いままさにその座から静かに退場しようとしている。
 本書は、そもそもなぜ、アメリカ社会が現在のような惨状を呈するに至ったのかを、「クルマ社会化」という局面から興味深く切り取っている。著者の視点は、「クルマ社会」につきもののエネルギー問題から、国の繁栄の基となってきた共同体の形の崩壊、そして階級社会化の促進にまで幅広く及ぶ。
 現代アメリカの病の本質を知ることができる1冊である。(T・O)

Voice 2010年12月号

「通貨安競争」や「ソブリンリスク」が喧伝されるなか、日本マーケットの停滞ぶりが際立つ。果たして2011年の日本経済は上向くのか、それとも「二番底」に突っ込むのか......。そこで、気になる論点について、正反対の見立てをもつ論客たちが大激論!時代を先取りするビジネスマン、必読の総力特集です。もう1本の特集は、「『アップルの時代』を超克せよ」と題し、どうすればアップル社の快進撃を止められるのか、テクノロジーの最前線をルポ!今月号もご堪能ください。

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