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59歳で起業、3年でコインパーキング事業を成長軌道に乗せた経営哲学

野坂弦司(日本システムバンク創業者)

2017年02月13日 公開 2023年01月12日 更新

前向きな気持ちは朝に生まれる

私には、私利私欲から解き放たれる時間帯があります。朝です。もう20年ほど前から朝4時に起きることが習慣になっていますが、朝は気持ちが最も前向きで、ドロドロとした感情から無縁になれるのです。

早起きは三文の得と言いますが、まさにそうです。前向きな気持ちの時に物事を考えると、集中力が高まって決断が早くなります。朝の3時間は、昼や夜の6時間に匹敵するのではないかと思っています。

もう一つ、私が毎日楽しみにしていることがあります。日の出を楽しむことです。日の出は自然界がくれる壮大なドラマです。東の空の赤味に気づき、立ち上がって窓辺によると、雲は茜色に染まり、大きく横にたなびいています。その後、赤味は少しずつ薄れ、横に長く広がる雲は幾重にも重なって、巨大な鳥が大きく双翼を広げて山なみの上から飛び立とうとしているように見えます。なんというスペクタクルでしょうか。朝日を拝んでいると、「三文」どころか「3億円」以上の価値を感じ、感謝の気持ちがあふれてきます。こうして、幸せな一日の始まりを迎えることができるのです。

朝日のショータイムを楽しみつつ、朝4時からの3時間、私はその日一日の予定を確認したり、本を読んだり、文章を書いたりといった時間にあてています。夜明けを眺めながらブログを書くこともよくあります。私がブログを書き出したのは、小泉純一郎元首相がブログを開始したのとほぼ同時期。彼が激務の中、ブログを書き続けているのを見て、「私にだってできるはずだ」と始めたのです。以来、私は「ながら」の時間を活用しながら、ブログを続けました。仕事をしながら、日の出を見ながら、本を読みながら、自分の主義主張や所感をしたためるのです。毎日のように書いてきたので、ブログはすでに膨大な本数となり、私の重要な記録となっています。

時間は決して後戻りをしません。常に先へ先へと進んでいきます。ある人が私に言いました。「後ろを振り返るな。過去のことを言うな。前だけを見つめて、前進を続けよ」。朝の時間は、素直な思考回路で前だけを見つめて思案できる、黄金の時間帯なのです。

 

野坂弦司(のさか・げんじ)

1937年、滋賀県長浜市生まれ。1959年、同志社大学経済学部卒業、三谷商事入社。1980年、トヨタビスタ福井に出向し代表取締役。1984年、三谷商事取締役、常務・専務を経て顧問。1994年、三谷設備代表取締役に就任し、1996年に退社。同年に日本システムバンクを設立し、全国でコインパーキング事業を展開。10年間2ケタ成長を遂げるなど、同社を全国で有数の企業に育て上げた。2007年、同社取締役会長。2012年、福井市にブータンミュージアム(NPO法人幸福の国)を設立し、理事長。2016年、日本システムバンク会長とNPO法人幸福の国理事長を退任し、新しい活動へと踏み出している。  

※本記事は、野坂弦司著『幸せの種をまく人生』より、一部を抜粋編集したものです。 

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