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生き方

よく歩く人は、気持ちの整理がうまい

枡野俊明(建功寺住職/庭園デザイナー)

2017年03月23日 公開 2024年12月16日 更新

歩けば思考も働き、心も癒される

何事も便利になったいま、人には「歩く」機会が少なくなりました。

網の目のように交通手段が発達し、近所にちょっと買い物にいくにも自動車です。

エレベーターにエスカレーター、飛行場やターミナル駅には「動く歩道」もあります。

こういう生活環境の中では、私たちは、意識して「歩く」ことを心がけるほうがいいでしょう。

もちろん健康のために、です。

しかし健康ばかりではなく、「歩く」のは「気持ちの整理」「脳の活性化」「心の癒し」などにもとても効果があります。

原稿にいき詰まった小説家が、机の周りをウロウロ歩き回ります。足を動かすと、いいアイディアが思い浮かんでくるからでしょう。

哲学者もよく歩きます。京都には「哲学の道」がありますし、フランスのルソーは『孤独な散歩者の夢想』という本も残しています。

「歩く」のは、思考の働きをよくします。

四国のお遍路さんたちも、歩いて、歩いて、歩き通します。

「歩く」と、心も癒されます。

行き詰まって、いいアイディアが出ないとき。

どちらの選択肢を選ぶか決断できないでいるとき。

何かの悩み事があって、心が落ち着かなくなっているとき。

デスクにかじりついて、うんうん頭を悩ませていても、いい解決策が見つかりません。

思考の糸がこんがらがっていくばかり。

「頭を使うときには、足を動かせ」です。

禅の修行者も、行雲流水、よく歩きます。

「歩く」のは、精神を鍛える行為ともなります。

※本記事は、枡野俊明著『手放すほど、豊かになる』(PHP文庫)より一部を抜粋編集したものです。

 

【枡野俊明(ますの・しゅんみょう)】
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授

1953年神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。「禅の庭」の創作活動により、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年には『ニューズウィーク』日本版にて、「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。庭園デザイナーとしての主な作品に、カナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル日本庭園など。

 

著者紹介

枡野俊明 (ますの・しゅんみょう)

曹洞宗徳雄山建功寺住職

1953年、神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年「ニューズウィーク」誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。近年は執筆や講演活動も積極的に行う。

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