暗い気分で下す決断は100%間違っている(名越康文)
2018年05月17日 公開 2022年08月16日 更新
ジレンマを解く鍵はひとりぼっちの時間=ソロタイムにある
では、どうすればいいのか。実は、このジレンマを解く答えは、単純明快なものです。それは、一時的に群れの人間関係から距離を取り、「ひとりぼっちの時間」を過ごしてから決断する、というものです。
人生を変えるような大きな決断をする前には、必ず群れから離れて、「ソロタイム=ひとりぼっちの時間」を過ごすということ。群れの価値観や常識からいったん手を放し、心を落ちつけ、明るく、さわやかな自分を取り戻す。それから決断をすれば、大きく判断を誤ることはなくなります。
大切な選択ほど、落ち着いて、平常心で選ぶ。これは言葉にしてしまうと、拍子抜けしてしまうぐらい、当たり前のことです。しかしながら、だからこそ、心に留めておくべき指針なのです。
私の臨床経験から申し上げて、人生の岐路に立たされたとき、こういう手続きを丁寧に、きちんとやってから決断している人というのは、まず十人中一人もおられません。私の知る限り、多くの人は、ほとんど正気を失ったような、異様な精神状態のなかで大きな決断をしている。残念ながら、それが現実です。
群れから離れるソロタイムというのは、捉え方によっては単なる「気分転換」にすぎません。しかし、気分転換を甘く見てはいけません。ほんの少しの気分転換が、人生を大きく左右することにもつながるのですから。
ほんの少しの時間でも結構ですので、群れの人間関係から距離を置き、落ち着いた心で冷静に物事を捉え直し、判断をしましょう。実はこれこそが、大事な決断を誤らない鉄則なのです。
※本記事は、名越康文著『SOLO TIME (ソロタイム)「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』 (夜間飛行) より一部を抜粋編集したものです。