「ゆとり世代社員」最強説 30代以上は置き去りにされる
2018年09月18日 公開 2024年12月16日 更新
<<「いまの会社にずっとお世話になるという発想は危険だ。一刻も早く転職しろ」と主張する成毛眞氏。
しかしながら、5年、10年、15年、20年とひとつの会社で働いた時間が長ければ長くなるほど、経済的にも精神的にも簡単に切り離すことは難しい。
そういった事情も踏まえながら、それでも成毛氏が「すぐに転職」を主張をする理由とは何か? 同氏の新著『定年まで待つな! 一生稼げる逆転のキャリア戦略』の一説から、その背景を探る。>>
最も怖れるべきはAIではなく、新入社員である
これからの世の中にあって、お金を稼げる自分であり続けるのは難しい。
少なくとも、いまの職場で、目の前の仕事に追われていたら、定年前に仕事を失い、路頭に迷うことになる……。そんな悲劇に見舞われる人が、たくさん出てくる、と私は見ている。
その理由は何か。最近よくいわれるのが、AI(人工知能)の登場だ。ホワイトカラーの仕事の大半は、近い将来AIに代替されるといわれる。
ここ10~20年に関していえば、AIはホワイトカラーの仕事を奪うまでには至らないかもしれないが、近年のテクノロジーの進歩のスピードをなめないほうがいい。
気付いたら、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)なんて技術も一般化されているわけだし、AIもそのうち、あなたの同僚になる、そんな未来は想像に難くない。
AIよりももっと脅威となる存在がいる。それは、これから入社してくる20代の新入社員だ。
大谷翔平、羽生結弦、池江璃花子…なぜゆとり教育時代に天才が育ったのか
スポーツ界だけでも、二刀流メジャーリーガーの大谷翔平、フィギュアスケートの羽生結弦、マルチスイマーの池江璃花子、陸上の100m日本記録保持者の桐生祥秀と枚挙にいとまがない。
「天才」と呼ばれるような小中学生は、14歳2か月で史上最年少プロ棋士になった藤井聡太だけではない。宅建(宅地建物取引士)に合格した歳や、小学生で起業した強者ものもいる。
このように、近年、各界で、少年漫画のような活躍をしている優れた日本人が、次々と現れている。
彼らに共通しているのは、1987~2004年のあいだに生まれた、「ゆとり教育」を受けた世代だということだ。
ゆとり教育は、「子どもを甘やかすだけ」などとさんざん酷評され、ついに国も「脱ゆとり教育」を打ち出したが、育った子どもたちを見ると、屈託がなく、常識にとらわれずに物事を考えられる人が明らかに増えている。
これはおそらく、戦前から始まり、戦後になっても続いていた、旧来の義務教育などでスポイルされていないためだろう。
ご存じのように、旧来の義務教育は、教条主義的で、教科書に書いてあることに対して、子どもが何か疑問を覚えたとしても、「つべこべ言わずに、そう覚えればいいんだ」と詰め込みを強要してきた。「利根川の支流の名前を覚えろ」「化学記号を暗記しろ」みたいな、無理に覚えなくてもよいことばかり覚えさせてきた。
「努力とは嫌なことに取り組むこと」とばかりに、短所の克服に時間が割かれる一方で、考える時間を奪ってきたために、子どもの個性や独創性は育まれなかった。「好きなこと」に熱中する時間は、努力とは見なされなかったのだ。
しかし、ゆとり教育では、知識の詰め込みをやめて、自分の得意なことに打ち込み、個性を伸ばすよう、子どもたちを意識的に導いてきた。
その結果、個の力を引き出すことに成功し、大谷翔平をはじめとする天才の輩出につながっているのである。
ちなみに、日本では再びゆとり教育をやめる方向に舵を切っているが、愚の骨頂だ。