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自業自得――末期ガンの猟師へネットユーザーが投げつけた言葉【幡野広志】

幡野広志(写真家)

2018年12月04日 公開 2024年12月16日 更新

<<末期ガン、余命3年の宣告を受けるも、精力的に発信を続ける写真家の幡野広志氏。処女作『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』に、写真はあえて1枚しか収録しなかった。

写真ではなく、「言葉」で伝えることにこだわった本書では、息子に伝えたいこと、学んでほしいこと、教えておきたいこと、そして、いつか話したいことが綴られる。

幡野氏が本書の最後に、息子いつか話したいこととしてあげたのが、「生と死」についてだった。

モノ、動物、人の生と死に触れ、今、ガンによる余命宣告を受け「自身」の、そして「家族」の命と対峙している幡野氏が考える「命」とは。同書の一説から紹介する。>>

※本稿は幡野広志 著『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP研究所)より一部を抜粋し、編集したものです
 

どうしても命を奪うのが嫌なら、自分が生きることをやめたほうがいい。

ガンになったとSNSで公表したら、「自業自得だ」という書き込みがあった。
僕が狩猟で動物を殺し、その肉を食べた報でガンになったというのだ。狩猟をしてもしなくても、僕たちの命は、動物の命の上に成り立っている。

菜食主義者が食べる野菜を生産する畑では、罠を仕掛けて野生動物を殺している。

「動物を殺さないで電気柵やネットで畑を守ればいいだろう」
「畑が荒らされるのは、人間が動物のすみかを奪ったからだろう」 

こんな意見もネット上で見かけたが、非難はするけど、手間とお金は出さない人の意見だと思う。

動物に近い場所で暮らす山間部の人ほど、害獣駆除など、殺すことを頼んでくる。農家の人だって、生活がかかっているのだ。

さらに僕たちは、食料だけで生きているわけではいない。物流や利便性のために高速道路を建設し、ダムをつくって動物のすみかを奪っている。
こう考えると、本だってスマホだって、間接的には命の上に成り立っている。

菜食主義者やヴィーガンのごく一部の人は、肉や魚を食べないというただそれだけで、自分が「殺さずに生きている」と信じているようで、肉をスーパーで購入したり、食べる人を殺人者と罵る。

それは独りよがりだし、見えないものを想像したり、深いところまで考えたりしていないのではないだろうか。
どうしても命を奪うのが嫌なら、自分が生きることをやめたほうがいい。

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僕たちは、命の上に成り立っている。

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