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50代と40代に格差 将来の年金額を計算して見える現実

荻原博子(経済ジャーナリスト)

2019年01月15日 公開 2023年09月12日 更新

今の年金受給者は「目減り」を心配しなくていい

さて、今の時点でどれくらいの年金をもらえるのかはわかりましたが、問題は、将来もらえる年金の額です。

年金は、経済状況が変われば支給額も変わるということで、厚生労働省では8通りの経済前提でそれぞれの年金額を試算しています。

そのなかの「標準的なケース」を見ると、今から27 年後の年金受取額は、月約24万4000円となっています。

月24万4000円なら、現在の約22万円よりも増えているのでうれしい気がしますが、この頃には働く世代の給料も1.39倍に増えているという前提なので、今のお金の価値では、月18万円くらいということになります。

ですから、これから約30年の間に、年金の実質的な支給額は2割前後減っているかもしれません。

また、これはあくまで計算上の数字であって、必ず月24万4000円もらえるのかといえば、そうとは限りません。経済状況が激変している可能性があるからです。

年金支給額は、加入期間や現役時代の給与、家族構成、社会状況などでも変わります。ですから、はっきり言って将来のことはわかりません。

もう1つの試算として、物価が上昇しても、年金額はそれほど上がらないということもできます。

これが、社会情勢に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する「マクロ経済スライド」という仕組みです。

マクロ経済スライドは、現在のところマイナス0.3%の調整率なのでこれをあてはめてみると、今40歳の方が65歳になって妻と2人で年金をもらうとなると、現役時代に700万円の年収があるなら月約19万円になります。現役時代の年収が500万円だと、65歳から月約16万円もらえるということになります。

もちろん、これは1つの試算でしかありません。マクロ経済スライドも、今は0.3%のマイナスですが、景気次第で変わってきますし、年金積立金が2015年度のように大幅に毀損するようなことが続くと、1~1.2%の実質目減りということもあり得るかもしれません。

また、今40歳くらいの方だと、さらなる年金改革で支給開始年齢が引き上げられ、現行の65歳支給開始から67歳、68歳の支給開始になるかもしれません。

70歳支給開始になっているという可能性も否定できません。年金受給額の見通しはそれほど明るくない半面、すでに年金をもらい始めている人は、年金の目減りをそれほど心配する必要はないでしょう。

なぜなら、今、月額22万円もらっている年金が25年後に実質月額が18万円に目減りしたとしても、現在65 歳の方なら90歳になっていますから、現在65歳の時のように食べたり飲んだり、洋服を買ってオシャレしたり旅行に出かけたりということは少なくなっている可能性があり、それほど生活費は必要ではないかもしれないからです。
 

今の40代は将来、年金をもらえるのか?

問題なのは、今の40代の方たちがどうなるか。
彼らが年金をもらい始める25年後からは、受給者が最も多い団塊の世代の数が徐々に減ってきます。

もちろん、年金を支える若者の数も減っていく可能性があるので、政府にはしっかりと少子化対策をしてもらわなければ困りますが、団塊の世代が給付対象から外れてくると、年金政策にも少しは改善の余地が見えてくるかもしれません。

とはいえ、給付額が減るのはほぼ確実です。すでに、年金の受給開始間近という人は、将来的な目減りはそれほど恐れることはありませんが、年金の受給開始が20年後という今の40代は、月15~18万円くらいで生活する心算でいたほうがいいでしょう。贅沢な暮らしをしている人は、今から節制した生活を心がけておいたほうがいいかもしれません。

しかし、この世代は共働きが多いのが強み。パートでも、これからは厚生年金に入る人が増えるので、もし2人とも厚生年金なら、2人で20万円以上の年金にはなるでしょう。

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