なぜ「第一印象が良い人」ほど警戒すべきなのか?
2019年06月22日 公開 2020年08月03日 更新
(イラスト:くまみね)
<<下園壮太氏は元・陸上自衛隊衛生学校心理教官にとして、多くの隊員にメンタルヘルスの指導をし、現在はメンタルレスキューシニアトレーナーとして、カウンセリング技術の普及に努めている。
その下園氏が、対人関係で最も厄介だと指摘するのが「一見、いい人」。あんなに優しそうなのに。あんなに元気でいい子なのに。と言われる人ほど、巧妙な手で他人をじわじわ蝕むと言う。
そんな「一見、いい人」への対処法を示した同氏の近著『「一見、いい人」が一番ヤバイ』 にて、その危険性を述べた一節を紹介する。>>
※本稿は下園壮太著『「一見、いい人」が一番ヤバイ』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです
「ここが嫌」という明らかな悪い点が見えづらい「一見、いい人」
あなたが日々接する人のなかに、「一緒にいるとなぜか気持ちがざわざわする人」や、「いい人なのに、息苦しさを感じる人」、「会った後にぐったり疲れてしまう人」は、いませんか。
いつもハイテンションで明るい性格だけどなぜかイラッとしてしまう後輩。
「なんでも私に話してね!」と言われ、ついあれこれ打ち明けてしまったけれど、周囲に言いふらされないか心配な、聞き上手の先輩。
「任せるから! 頼りにしているよ!」と言うくせに、こちらがミスをすると「いやー、任せっきりだったから自分は全然把握していなくて!」と責任逃れをする上司。
毎晩のように愚痴メールをしてくるけれど、こちらのアドバイスに聞く耳を持たない友人。疲れてもう帰りたいのに、「君はどうしたい?」と、しつこくコーチング術を駆使してくるはた迷惑な上司など……。
このような「一見、いい人」が厄介なのは、文字通り表面的には「一見、いい人」である、ということ。「ここが嫌!」「こういうところが困る」という、明らかな"悪いポイント"が見えにくいことにあります。
だから、周囲の人に「この人、困る」と相談しようとしても、「え? どこが? いい人じゃない」と返されてしまい、あなたが感じている違和感を理解してもらうことが難しい。もしかしたら、同じように思っている人もいるかもしれません
が、「一見、いい人」に対してそのような気持ちを抱いていることをあからさまに出す人は少なく、共感してくれる仲間を見つけにくいのです。
「一見、いい人」は、人当たりも良いので、周囲からの評価が良かったり、責任あるポストに就いている、ということも往々にしてあります。大多数が「いい人」だと思っている人には不満も言い出しにくい。抗議をするあなたの立場が悪くなるリスクがあるからです。
「嫌だ」と確かに思っている。でも、「この人はいい人だし……」という葛藤があると、気持ちはくすぶり続けます。
次第にあなたは、「こんなにいい人を疎ましく感じる自分が間違っているのかも」と思い始め、嫌だと感じている気持ちにフタをするように。すると、エネルギーをどんどん失っていく「消耗疲れ」が起こります。
「一見、いい人」と接することで、イライラしたり、ザワザワしたり、くたびれてしまうことに苦しさを感じているはずです。実は、その感覚は、無視してはいけない、とても大切な気づきです。
なぜならその感覚は、あなたが今、エネルギーを消耗している、という事実を全力で伝えてくれているからです。