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売れた理由は、柳井正氏に叱られたから? GU成功の舞台裏

永井孝尚

2019年11月08日 公開 2022年06月22日 更新

 

1勝9敗でもいい

新商品や新規事業プロジェクトが成功するかどうかは、いくら調べても事前には絶対にわからない。

必要なことは、「こうしたらうまくいくはず」という仮説を考えたらすぐに実行。必ず結果を検証し、対策を立てるというフィードバックのループをひたすら回し続けることだ。

さらに失敗は早めに見切り、痛手になる前に損切りする。そして、このフィードバックループを、社内のあらゆるところで回していく。

その中から大きく化ける商品や新規事業が生まれてくる。1勝9敗でも、9敗を帳消しにしてお釣りが来るくらいの1勝をあげればいい。

数十億年前に単細胞だった生命が人類に進化したのも、実は、失敗の積み重ねの賜物だ。生殖で遺伝子をコピーする段階でエラーが起こり、突然変異体が生まれる。

その中から環境に適合したものが選ばれ、生き残る。このプロセスが、気が遠くなるような長期間にわたって繰り返され、いまの私たちがいる。

誰もが失敗を極度に怖れて挑戦しない社会は、何の進化も生み出せない。
多くの人が失敗を怖れるから、売れない。だから日本は長期停滞に陥っている。

しかし「失敗=学びの共有財産」と発想を転換すれば、失敗から学べるようになる。

日本人は学びや組織で共有することが大好きだ。日本人の資質を活かせるようになる。

実際に日本には、そのように失敗から学び成長する会社もある。
大阪府堺市の「太陽パーツ」には「大失敗賞」がある。「おまえ、ど派手にやりよったなぁ」と表彰状と賞金2万円を渡している。

社長いわく、「萎縮するのが一番あかんねん。失敗して初めて次の課題が見える。笑い飛ばして行動あるのみや」。

そう言う社長自身が「大失敗賞」をもらっている。会社は1983年の設立以来、黒字経営が続いている。マツダの生産工場も「失敗大賞」で新しいことに挑戦して失敗した人を表彰している。

貴重な共有財産である失敗から学ばないのは、実に「もったいない」ことなのだ。世の中が進歩するのは、失敗からの学びのおかげである。失敗からの学びを奨励する会社になれば、成長していくのだ。

どんどん新しいことに挑戦しよう。もちろん時には失敗もある。その時はしっかり学ぼう。

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