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日本を「主権国家」と認めていない!? ロシアの強気な言動の根拠

小泉悠(ロシア研究者・軍事アナリスト)

2019年12月10日 公開 2022年01月26日 更新

 

日本は「主権国家」ではない?

他方、プーチン大統領が主権を持つ国として挙げたのは、インドと中国である。

その理由についてはここでは触れられていないが、プーチン大統領は別の機会に、主権とは「自由の問題であり、各人、各民族、各国家が自らの運命を自由に決せるということ」であると述べている。他国に依存せず、「自由」=自己決定権を自らの力で保持できる国だけがプーチン大統領の言う「主権国家」なのである。

ことに中印が核保有国であり、外国と同盟することなく安全保障を全うしていることを考えれば、プーチン大統領の言う主権の要件には軍事力が含まれていることは間違いなく、したがって軍事大国であるロシアもまた「主権国家」であるとみなされている筈である。

他方、このような能力を持たない旧ソ連諸国は真の「主権国家」ではなく、したがって「上位の存在」であるロシアの影響下に置かれるのは当然だ、というのがロシアの論理であろう。

この意味では、安全保障を米国に依存する日本もまた、「主権国家」の定義からは漏れることになる。要は日本が日米安全保障条約体制下にある以上、独立したプレイヤーとはみなされないということだ。

他方、国際社会の非難を浴びつつも弾道ミサイル実験と核実験を強行し、事実上の核保有国となった北朝鮮は(プーチン大統領に言わせれば)「主権国家」になりつつあるのかもしれない。

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