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親の介護を心配する人に伝えたい「会社を辞めずに済む制度」

荻原博子(経済ジャーナリスト)

2020年01月07日 公開 2023年01月05日 更新

 

「介護休業」は長期間休めるが、給料は支払われない

では、「介護休業」はどうでしょう。

「介護休暇」は短期でしか取れませんが、「介護休業」なら、長期で休みが取れます。介護期間が長期になる人は、「介護休業」の取得をオススメします。

「介護休業」は、対象家族1人当たり93日まで。分散して取得することも可能で、3回まで分けて取得することができます。

同じ事業所で1年以上働いていて、ある程度は継続的に働く見込みのある人が対象です。もし、「介護休業を取りたい」という申し出があれば、事業主は、その申し出を断ることはできません。

休業中の給料は、労働基準法に規定がないので、会社が賃金を支払う義務はありません。そのため、会社によっては無給というところもあり、そうなると収入が極端に減って生活していけない可能性が出てきます。

もし、会社からお金が出なかったり、著しく賃金が低下する場合は、申請すれば、雇用保険から「介護休業給付金」が、最長93日間給料の約3分の2が支給されます(申請は原則事業主を経由して行いますが、本人が、事業主を管轄するハローワークに申請することもできます)。

要介護状態の家族を介護している人なら、請求すれば、深夜帯(午後10時から午前5時)の仕事をしなくてもいい「深夜業免除の制度」もあります。

ただし、これによって事業が正常に運営できなくなる場合などには使えません。

 

有給を効果的に使う手も

なかには、「介護休暇」や「介護休業」を取得せず、有給を使っている方もいるでしょう。それも効果的だと思います。

しかし、パートの場合はどうでしょう。「パートだと、介護で休みたくても有給休暇は取れない」と思っている方も多いのではないでしょうか。

じつは、2019年4月から、働く人の有給休暇が、義務化されています。有給休暇とは、労働基準法第39条で認められている、休んでも会社がお金を払ってくれる休暇です。

これまで有給休暇は、働く人の「権利」でした。ですから、取らせなくても事業者に罰則はなかったのですが、2019年4月からは、雇用主が有給休暇を取らせないと、雇用主が罰せられることになりました。

働く人にとっては、「権利」よりも強い「義務」になったということです。正社員の場合には、会社に勤めて6ヶ月以上たち、労働日数の8割以上働いていれば、年間10日の有給休暇を取らなくていけません。

つまり、風邪をひいたり、やむをえない事情があって会社を休んでも、その休みの日数が、決められた労働日数の2割を超えなければ、有給休暇は取れます。

そこから、1年継続して働くごとに有給休暇は増え、6年6ヶ月を過ぎると年間20日の有給休暇が取れるようになります。

また、パートでも正社員同様にフルタイムで働いている人は、正社員と同じ日数だけ有給休暇が取れます(週に30時間以上5日以上の勤務、または1年間の所定労働日数が217日以上)。

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週1日で働くパートにも、有給休暇はある

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