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生き方

いつもニコニコしている人は、なぜ愛されるのか? 仏教が示す絶対的真実

鵜飼秀徳(ジャーナリスト・浄土宗僧侶)

2020年02月03日 公開 2020年02月03日 更新

「自分のことより、相手に尽くせ」。ビジネスの現場では金科玉条のごとく語れてきたが、その真意を正確に理解している読者は少ないのではないだろうか。

この考えは、仏教思想の「布施」と大きく関係しており、企業活動やビジネスをするうえで、いまや欠かせない視点なのである。

そこで本稿では、自身も企業に勤めていた経歴をもつ“ジャーナリスト僧侶”の鵜飼秀徳氏が、布施の重要性と、ビジネスや仕事にもたらすメリットについて解説する

※本稿は、『ビジネスに活かす教養としての仏教』 (PHP研究所)の内容を一部抜粋、編集を加えたものです。

 

お金を出すほうが頭を下げる

近年、CSR(企業の社会的責任)の名のもとに、企業が様々な社会貢献事業に乗り出すようになってきました。

たとえば、東日本大震災における復興ボランティア活動など。本書を手にした読者の中にも被災地に赴き、炊き出しや瓦礫処理などに関わった方もいらっしゃることでしょう。こうした、奉仕活動を仏教の概念に照らし合わせれば、「布施」ということになります。

布施の本質は「見返りを求めず、(寺や貧者らに)何かを喜んで施す」ことです。布施は「喜捨」と言い換えることもできます。一方で、ボランティアに対し「ビジネス」は、「見返り(=取引)」が前提となります。物品を求めれば、その対価として金が必要です。

ビジネスでは、お金を出すほうをクライアント(顧客)と呼びます。クライアントはお金をもらう側よりも常に立場が上になりがちです。

お金を受け取る側からすれば、クライアントは「神様」のような存在です。ベンダー(販売者)はクライアントから多少無理を言われても、従うしかありません。

しかし、布施の精神では、金をもらうほうが頭を下げる、という一方的な構図にはなりません。クライアントも「喜んで、お金を出させていただきます」と、相手に頭を下げるのです。お金を出すほうがペコペコ頭を下げるなんて、そんなアベコベなことが成立するわけがない、とお思いでしょうか。

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お布施はお坊さんに払う報酬ではない

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