世界のプレゼン大会で成否を左右する、「つかみ」の3大ポイントとは?~フランス・香港・シンガポールからの教訓
2020年02月27日 公開 2024年12月16日 更新
大失敗するプレゼンのつかみの、悲惨な特徴とは?
これに対し、プレゼンの「つかみ」で大失敗するのは、まったく実感のこもっていないご当地ネタを持ち出し、さらにそれが本論にまったくつながっていないときだ。
以前、栃木県下の中学校、高等学校の教師が500人ほど集まる研修会で、我が母であるミセス・パンプキンと、「一流の育て方」の講演をしたときの出来事だ。
講演前に担当者の方と打ち合わせをしたところ「冒頭で、地元ネタの餃子の話をされてはいかがですか?」と提案された。「栃木では『ぎょうざ専門店 正嗣』派と『宇都宮みんみん』派の2大派閥があるんですよ。それを話題にしたら、きっとウケますよ」と。
私は栃木での講演はそのときが初めてで、餃子が大好きというわけでもない。それでも、せっかくアドバイスをくれた担当者に従って、ご当地ネタの挨拶から講演を始めた。
「えー、私は餃子が好きでして、どちらかというとみんみん派で……」
一応、そう言ってはみたものの、言葉には力も思いもまったくこもらず、嘘臭さと「なんでこんなことを言わなアカンのや……」という当惑がにじみ出てしまった。しかもその餃子の御当地ネタは、その後の「子どもの育て方」の本筋にどう頑張ってもピクリともつながらないのだ。
そのおかげで、どっちらけモードのアウェイ状態から講演をスタートする羽目になった。あのときのシーンと静まり返った会場は、今でも忘れることができない。
人からの助言を聞くことも大切だが、つかみに関しては自分の正直な感想に基づいて話すようにしよう。
ちなみに、ウケを狙いすぎると、関心を引くどころか、単にドン引きされてしまうこともあるので要注意だ。
先のフランスでの大会に参加していた北欧のとあるファンドマネジャーは、あろうことか突然踊り出し、ラップ調でプレゼンを始めた。もはや何を言っているのかまったくわからず、「バイアウト! バイアウト! ウェ〜イ!!」といったコールに瞬間的には盛り上がったものの、オーソリティや信頼感は皆無であった。いくらオーディエンスを楽しませるといっても、そのパフォーマンスが本質的メッセージにつながっていないと、単なる悪ふざけで終わってしまうので、くれぐれも注意しよう。
【教訓】
冒頭の「つかみ」を、本質的なメッセージにつなげよう。オーディエンスを楽しませて親しみを感じてもらってこそ、共感度や理解度が高まる。
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ビジネスコミュニケーション能力を、誰でも簡単に世界最高水準に高めるための「コミュ力の教科書」をコンセプトに執筆された、新刊『世界トップエリートのコミュ力の基本~ビジネスコミュニケーション能力を劇的に高める33の教訓』より抜粋・加筆。