元外交官に聞いた「海外の人は日本に興味があるのか?」
2020年03月27日 公開 2024年12月16日 更新
山中俊之(やまなか・としゆき)氏は、外交官からキャリアが始まり、いくつかの職を経験されたあと、現在は株式会社グローバルダイナミクス代表取締役社長であり、神戸情報大学院大学教授でもあります。
「世界と日本」の歴史や文化について造詣は深く、主に世界に通用する人材を育てることを使命と考えています。少しでも多くの日本人に国際的に通用する教養を身につけて欲しい。
そのためには日本史をいかに世界に人たちに伝えるかが重要だと考え、『世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ』を上梓しました。
本稿では、作家エージェントでかつ自身も『花戦さ』などのヒット作品の著者でもある鬼塚忠さんが、山中さんに「外人にささる日本史」を聞きました。
明治維新を評価する知日派の外国人
(鬼塚)山中さんは元々外交官で、現在は大学教授であり、世界に通用する国際的人材を育成する人材開発会社の代表でもありますが、そもそも、世界は日本に興味があるのでしょうか? あったら元々どういうイメージを持っているのでしょうか?
(山中)世界の有識者が日本に興味があるのは間違いないでしょう。戦後、奇跡的な経済発展をしてきましたから。同じようなことをすればわが国も発展できるのではないかと思ったことでしょう。
ただ、裏を返せば、このおよそ30年間、日本の経済に陰りが見えてから、以前ほど興味を持たれなくなったことも肌で感じています。ましてや、昨今テレビで「日本の匠」がすごいともてはやされていますが、あれは言い過ぎと感じています。
では、どういうイメージを持っているかですが、アメリカ人が持っている日本の印象は、去年7月のニューズウィーク日本版のアンケートによると、1位が「勤勉」で94%、2位が「創意に富む」が76%です。これはアメリカ人のアンケートですが、世界のイメージもこれと似たり寄ったりでしょう。
(鬼塚)日本人が「勤勉である」という印象を持つことは以前より伝えられていましたが、「創意に富む」の割合がここまで多いのは意外です。なぜなのでしょうか?
(山中)知日派の外国人に日本の明治維新を評価する人は多いです。身分制の廃止、信教の自由、議会制の開始、憲法制定などを成し遂げたからです。なぜそんなことが可能だったかというと、その土台に江戸時代の高度な教育があったからです。
実際、日本にキリスト教を伝道するために来たフランシスコザビエルは、インドのカトリックの伝動の拠点に、日本人の識字率の高さを手紙で報告しています。
(鬼塚)識字率が高いのには理由があったのでしょうか?
(山中)武士が城下町に集められ、武士が居住しなくなった農村の農民と文字によりやりとりを行うようになったからです。だから武士だけでなく、農村にも読み書きの能力が求められるようになったのです。