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生き方

「人見知りな人」と「外面がいい人」が共通して抱える”不安と恐怖”

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2020年05月07日 公開 2024年12月16日 更新

先行きの見えない厳しい情勢、届くのはネガティブなニュースばかり…。日本全体を覆っているのは「不安」だろう。先行きが不透明な状況のなかでは、自分自身の明日も見えづらく、心に重荷を背負ったままの日々の生活は辛い。

ニッポン放送「テレフォン人生相談」にて数十年にわたり、多くの人たちの悩みを聞き、その心を和らげきた作家で早稲田大学名誉教授の加藤諦三さんは、自著『不安のしずめ方』にて、その苦しさとどう向き合い、対処すれば良いかを説いている。

本稿では、同書より「不安の感情」が強すぎるあまりに苦しめられる人について語った一節を紹介する。

※本稿は、加藤諦三著『不安のしずめ方』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。

 

人が自分の悪口を言っていないか不安だ

人は、様々なよくないことを予期して不安になる。

自分の弱点を意識している人は、その弱点が人目にさらされるのではないかといつも怯おびえている。弱点がばれたらどうしようかといつも不安である。

人と会うときに、相手から悪く思われないかと不安になる。また、いやな目に遭あうのではないかと不安になる。

自分の立場や考え方を主張したあと、出しゃばりと思われたのではないかと不安になる。

自分がなにかを隠しているとき、人前に出るとそれを見破られるのではないかと不安である。

仲間が自分のことをどう思っているか不安である。

日常生活での不安をあげていけばきりがない。

失敗をして人に笑われないか不安である。人に認めてもらえないのではないかと不安である。人が自分の悪口を言っていないかと不安である。自分の評判が悪くならないかと不安である。

若い女性は、パーティーに行っても、誰からもダンスに誘われないのではないかと不安である。

学生は、明日の試験が良くできないのではないかと不安である。

学校を卒業して新しい会社に入っても不安である。

上司から仕事を言われても、「この仕事が自分にはできるだろうか?」と不安になる。そうなると仕事に専念できなくなる。これからやる仕事に集中できなくなる。

会議に出席する。そして会議が終わった後、皆が自分を重要な人間と思ってくれたかどうかと不安になる。しゃべりすぎて嫌われなかったかと不安になる。

部下は上司に気に入ってもらえるか不安である。自分の能力にも不安がある。

部下を昇進させる権限をすべて上司が握っているとする。そうなると自分は上司に気に入られているかどうか不安である。上司に嫌われていないかと不安である。

上司が不安でないかというと、上司は上司で不安である。責任ある立場につけば、毎日不安で不安でたまらない。昇進したビジネスパーソンが昇進うつ病などに陥るのは不安だからである。

明日の仕事がうまくいかなかったらどうしようと不安である。仕事はスケジュール通りいくだろうかと不安である。不安なビジネスパーソンは、明日の仕事が心配で眠れない。

「明日の仕事が失敗しても自分は殺されるわけではない」と言い聞かせても不安は消えない。

仕事に失敗して、人の信用を失うかもしれないと不安である。

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仮面の奥の「実際の自分」がばれたらどうしよう

著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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