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「得意先とのつながり」だけで威張る営業マンを放置してはいけない理由

藤本篤志(グランド・デザインズ代表取締役)

2020年07月21日 公開 2022年03月04日 更新

 

案件の「難易度」を区別していない

営業能力の差が最も顕著に出るポイントは、この案件難易度です。たとえば、1社のみの独占商談と、5社競合のコンペだったとしたら、どちらのほうが受注難易度が高いでしょうか?

答えは、かんたんですね。5社競合コンペです。

やってはいけないことは、単純に、売上もしくは利益という営業結果だけで、営業能力を評価してはいけないということです。なぜなら、難易度の違うプロセス要因が考慮されていないからです。

言いかえれば、高い営業能力とは、自力で案件を開拓する能力であり、新規の取引先を開拓する能力であり、難易度の高い商談から受注を獲得する能力なのです。

案件における「自社」の位置づけを知り、ケース別の難易度を把握することは非常に重要です。私はいままでの経験値から、案件の難易度を以下の5段階に分類しています。

レベル1 競争なし or または自社の位置づけ不明
レベル2 競争あり & 自社は一番手
レベル3 競争あり & 横並び(コンペ形態)
レベル4 競争あり & 自社は二番手 
レベル5 競争あり & 自社は三番手以下

営業状況が「無風」の状態、つまり検討していただいている会社が当社のみの場合がレベル1に該当し、「競争」の状態がレベル2~4に該当します。

「レベル1」に「不明」という判断基準を含めていますが、これはおもにお客様に聞くことができなかったり、聞いても教えていただけなかったりする場合です。営業能力の乏しい営業マンは、これが苦手です。つまり、案件化された商談が、そもそも競争があるのかないのか、あったとして「自社」はどのような位置づけなのかを明確にしてはじめて商談手法に違いが出てくるにも関わらず、その前提条件すら聞き出せないのです。

それでは営業能力が乏しいと判断して、受注しても高い評価を与えない「レベル1」に設定しています。その結果、競争の実態を必ず聞き出す営業マンが増え、作戦が立てやすくなるので、この効果だけでもメリット大です。

「横並び」とは、お客様が選定業者の優先順位をつけることなく、コンペ形態にしている場合を意味します。入札は、その代表的な例です。「レベル3」に位置づけている理由は、1番手として競争に臨む状態よりは難易度が高く、2番手(つまり明確な1番手が存在している状態)として競争に臨む状態よりは難易度が低い、と判断するからです。なお、「2番手」という意味は「2番手グループ」という状態も含みます。

以上のように、案件難易度を明確に区別すると、「レベル2」までは順調に受注できるが「レベル3」以降はあまり受注できない営業マンと、「レベル4」まで確率よく受注する能力がある営業マンとでは、営業能力に差があることが理解できるのではないでしょうか。

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