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株価が気になって仕事も手につかない...その原因の「恐怖心」を取り除く方法

福田猛(ファイナンシャルスタンダード株式会社代表)

2021年04月07日 公開 2022年10月06日 更新

投資

不景気さえ味方にする魔法「ドル・コスト平均法」

さて、投資信託による運用法は、「一括投資」と「積み立て投資」の主にふたつがあります。

「一括投資」はその名の通り、一度にポンと投資する方法です。1万円でも100万円でも一度で投資することです。

「積み立て投資」は毎月同じ金額をコツコツ投資する方法です。たとえば月に3万円積み立てすると決めたら、毎月払い続けます。

「まとまった資金があるときは一括で買ったほうが、大きなリターンを得られる」とすすめる専門家もいます。

しかし、一括投資は底値のときに買って、天井のときに売るのがもっとも利益が出る方法です。読めない相場を読むしかありませんので、これはプロでも困難な作業です。

一方、積み立て投資の場合、相場を完全に無視できます。だから何も考えないでいられる。価格が上がってもいいし、下がってもいいという、相反することを両立させる方法です。

ですから私は、積み立て投資信託をおすすめしていますし、私自身も資産運用のためにやっています。

なお、投資信託は次の式で成果を測ります。

【 価格×量(口数) 】

とてもシンプルですね。

毎月購入していく積み立て投資は、毎月「量」を増やしていく行為です。量に着目すると、「価格」は上がるより、下がったほうが多く買えます。

つまり積み立て投資は、好景気が続くよりもむしろ、価格が途中で必ず下がることが重要なのです。投資の世界ではみんな価格が上がらないといけないと思っていますが、積み立て投資は価格が下がらないといけない。「価格は下がっていいんだ」と思うと気持ちがかなり楽になりませんか?

この「下がってもいい」という考えこそが、積み立て投資信託を最強の資産運用法たらしめる"魔法"です。

1口1万円の商品を毎月3万円で積み立てたとします。その商品が5000円に値下がりしたら、普段は3口しか買えなかったのが、6口に増えます。

つまり、値下がりしたら「量」を増やせるということです。

それを1万5000円に値上がりしたときまで持っていたら、かなりのリターンを得られます。

一方で、値上がりしたときは買える口数は少なくなります。けれど、それは高値になりすぎた商品を買うのを抑えられる効果があります。

このように、毎月同じ購入額を投資し、「安いときにはたくさん買い、高いときに少なく買う」方法を、「ドル・コスト平均法(dollar cost averaging)」と呼びます。ちなみに、イギリスではポンド・コスト平均法と呼ぶようです。

投資信託が不況のときに有利なのは、株価が低迷している期間が長ければ長いほど、積み立て投資で口数を着々と増やせるからです。値下がりしたときに「損切りしなきゃ」、値上がりしたときに「売らなきゃ」と考えなくて済みます。

これこそ、私が理想としている「考えない投資生活」の真骨頂です。

考えなくていい。
価格は下がってもいい。
忘れているくらいがちょうどいい。

こんなストレスフリーの投資生活を実現させてくれるのが、ドル・コスト平均法という魔法なのです。これは現代の新発明などではなく、欧米ではずっと常識的な資産運用方法でした。日本でもようやく脚光を浴びてきましたので、これをきっかけにぜひ実践してほしいと思います。

 

結局のところ「ミックス投資信託」が最強である

さて最後に、私が推奨している「ミックス投資」について、すこしだけ触れておきましょう。

投資信託の商品には、大きく分けてふたつの種類があります。

・相対収益型(インデックスファンド、アクティブファンドなど)
・絶対収益型(オルタナティブファンドなど)

最近の投資ブームのおかげで、前者のなかのインデックスファンドは広く知られるようになりました。インデックスとは指標や指数という意味です。日経平均やTOPIX、アメリカのS&P500など市場全体の動きを表す指数(インデックス)に連動するように運用することを目指しています。

しかし、私はそこにとどまりません。

インデックスファンドは、一言で言うなら「平均点を取りにいく」ファンドです。「考えない投資法」としては優秀ですが、将来を安心していられるだけのリターンが得られるかはわかりません。

一方で、相対収益型のファンドのなかには、平均点以上を狙いにいく「アクティブファンド」という投資信託もあります。うまくいけば将来の安心を獲得するには十分なリターンが得られるファンドです。

アクティブファンドと言うと、「リスクが大きい」とすぐに危惧する声があがりますが、実際にはそればかりではありません。

海外の運用会社の商品には、リーマンショックなどの荒れた世界を勝ち抜いてきた「レジェンド級アクティブファンド」がいくつもあります。しかも、その多くが日本でこれまでほとんど紹介されてきませんでした。けれど、今はネット証券で誰でも買えます。

ですから私は、インデックスとアクティブ、この2つを良いとこ取りしてミックスした投資方法こそ、最強だと考えています。

ほったらかしておくだけで、将来の不安を払拭できるだけのリターンを得られる可能性があるのです。これこそが「最も考えなくていい投資」ではないでしょうか。

これから投資生活を始める人はもちろん、いまインデックスファンドで運用している人も、「ミックス投資」がいかに人生を楽にするか、ぜひ一度体験してほしいと願っています。