片づけられない、忘れ物が多い...発達障害の境界線はどこ?
2022年03月03日 公開 2023年12月19日 更新
つい買い物をしてしまう...ADHD(多動衝動優勢型)
【CASE1】お金の管理が苦手で、衝動買いを抑えることができません。パートナーに注意されるとついカッとなって言い返してしまい、いつもケンカになります。【Aさん/45 歳・女性】
多動衝動優勢型の方は、せっかちで衝動的な行動に走りがちです。引っ越しを繰り返したり、異性関係でもつきあう相手がよく替わったり、アルコールなどの依存症に陥る方もいます。
新しい刺激を求めて次々と興味が移るので、ある意味「行動力がある」ともいえます。このタイプの方は、衝動の自己コントロールが難しいので、たとえば「カードの限度額を設定する」「お金の管理をパートナーにお願いする」など、衝動買いしたくてもできない仕組みを作るのが有効です。
相手に言い返してケンカになってしまいそうになったら「別室に移動して3分待ってみる」「氷を口に入れてガリガリと噛んでみる」など、怒りの衝動を抑えるワンアクションを考えてみてはいかがでしょうか。
片づけがどうしても苦手...ADHD(不注意優勢型)
【CASE2】昔から家事全般が苦手です。片づけの途中で違うことをしていたり、料理の段取りが考えられなかったりします。忘れ物も多く、雨の日の外出ではしょっちゅう傘を失くします。【Bさん/51歳・女性】
不注意優勢型の方は、ある意味「自己完結」しています。子どもの頃は授業中にぼーっとしていても、人に迷惑をかけるわけではありません。ところが、大人になると整理整頓ができず、食後の食器もすぐに洗わずに放置し、時間にもルーズ……といった問題が目立つようになります。
解決案として、苦手な自己管理にデジタル機器や家電を取り入れる方法があります。たとえば、1カ所ずつ集中して片づけるためタイマーを10分セットする、料理は材料を入れてボタンを押すだけの自動調理家電を使う、洗い物は食洗機を導入する、スケジュールはアプリで一元管理するなど。傘を忘れる件は、「忘れる前提で、いい傘を持たない」という方法もあります。あきらめたほうが心はラクになることもあるのです。