ブラジルの「燃え続ける島」で救った小さな命
この滞在中、フィゲレイド元大統領の側近から小さな黄金の猿ライオン・タマリンが"燃え続ける島"で危機に瀕しているという話を聞いた。
すると、猪木は消防署に出向いた後、すぐにヘリコプターで、その島に向かった。当初の予定にはなかった行動だ。
リオの海は汚染が進み、油で汚れていた。どれだけ汚れているかは上空からでも、はっきりとわかった。黒い油で海面が光っている。
私から見ても悲劇的な状況だった。これでは有名な「イパネマの娘」もかわいそうだ。しかし、これが現実なのだ。
問題の島の方は、火山灰が積み重なったような状態だった。ヘリが着陸を試みたが、その灰を巻き上げてしまう。パイロットは首を横に振った。
「灰の下は、たぶん燃えている。着陸したら、燃料に引火してしまうかもしれない」
着陸を断念した我々は、その日はライオン・タマリンを目撃することができなかった。
それから数年が経って、猪木がライオン・タマリンを救出し、どこかの施設に入れたという話を耳にした。
この時、私は同行していない。その功績を称えられて、猪木はブラジル政府から表彰されたようだ。