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“先回り指示”が信頼を崩すことも...部下の士気を高める「任せ方」

伊庭正康(らしさラボ代表)

2022年04月23日 公開

 

「参謀」の育成はチーム運営の要

最初の半年間にもう一つ、並行して進めておきたいことがあります。それは「参謀」を育てることです。

参謀の役割は、ひと言で言うとパイプ役。リーダーの意図や意思を理解し、メンバーに理解しやすく伝えてくれる存在です。経験とスキルがあり、周囲の人望も厚く、かつ前向きな姿勢を持つ人物がいれば、密かに、本人にも言わずに、「仕込み」を始めましょう。本人に伝えると無用なプレッシャーを与えるので、黙っておくのが吉です。

もし適任がいなければ、無理に探さなくても構いません。余計なことに力を割かず、情報収集と課題抽出に注力しましょう。適任がいれば、自分の仕事の一部を任せてみる。そう、「任せられるチーム作り」は、参謀育てから始まるのです。

その際は、「ぜひ助けてほしい」という姿勢を示しましょう。「君に頼むのが一番いいと思った」という気持ちを素直に示すのが一番です。「将来に備えて、経験しておいてほしいと思った」という言い方もお勧めです。次のリーダーとして育てたいと暗に伝えることで相手の意欲を喚起できますし、距離も縮まるでしょう。

 

「心理的安全性」を高めて言いやすさを演出する

こうして準備が整ったら、「このチームにはこういう課題がある。ついてはこれを改善したい」「このチームはまだ可能性がある。ついてはこういう目標を掲げたい」というように、方針を述べます。

社全体の方針をそのまま落とすこともあるでしょう。その際は「上がこう言っているから、よろしく」ではなく「会社はこう方針を定めており、自分もこういう意義があると思う。だから……」と、自らの意志も表明することが大切です。

さて、この方針表明、部下にとっては驚きの瞬間です。これまでニコニコと話を聞いてくれた「おとなしい」リーダーが、ある日ズバリと課題を言うのですから。掲げられた目標がめっぽうハードで、にわかに受け入れがたいこともあるでしょう。

そんなときこそ参謀の出番です。掲げた方針を噛み砕き、「じゃ、これを先にやろう」「君の仕事は彼にシェアすれば?」と具体的なレベルに落とし込んで、部下たちを巻き込んでくれるでしょう。

参謀がいない場合は、リーダー自身が具体的な方法を部下たちに考えてもらいましょう。方針を告げた時点でトップダウンは終了、以降はボトムアップのフェーズです。「方針について君たちはどうしたらいいと思う?」「アイデア聞かせてくれる?」という問いかけを、コミュニケーションのベースとします。

そのときに必要なのは、「心理的安全性」です。「これを言ったら叱られるかも」という部下の不安を取り除くことが大切です。「うっかりアイデアを出すと『じゃあ君がやって』と言われて仕事が増える」と恐れる部下もよくいます。

ですから、一つのアイデアが出たら「賛同する人、いる?」「他にも良い方法、ある?」と、皆に当事者意識を持たせ、協力体制を組める状態を作り上げましょう。このプロセスで方法を決めると、皆が「自己決定感」を得られます。これも、ボトムアップの機能に欠かせない要素です。

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できる人が陥りやすい「マイクロマネジメント」

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