1. PHPオンライン
  2. 生き方
  3. ストレスが悪化する意外な行動とは? 心理師が教える「セルフケア習慣」3つ

生き方

ストレスが悪化する意外な行動とは? 心理師が教える「セルフケア習慣」3つ

伊藤絵美(洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長/公認心理師)

2023年02月04日 公開 2023年09月05日 更新

 

「ジャッジをしない」が一番のポイント

怒りや不安など、ネガティブな思考・感情が繰り返し湧いてくる場合には、「葉っぱのマインドフルネス」がお勧めです。

これは、浮かんできた思考や感情を葉っぱに乗せて川に流すイメージによって、心の平静を取り戻す手法。湧き上がる思考や感情を、葉っぱに乗せて流してしまえば良いのです。何度湧き上がってきても同じこと。思考や感情に沈み込まず、ひたすら受け流す練習とも言えますね。

また、変わり種ですが私のお気に入りは「うんこのマインドフルネス」です。大きなストレスを感じ、感情や思考があふれてくるとき、それらをひっくるめてトイレに流してしまうイメージです。

これも「葉っぱのマインドフルネス」と同様、負の感情に襲われるたびに使える手法。お腹を壊したときには、何度もトイレに駆け込みますよね。それと同じ感覚を持てばいいのです。

なお、これらマインドフルネスを実践する際、最も大切にすべきは「今のはダメだった」「今のは良かった」などのジャッジをしないことです。

どんな人でもときには負の感情に呑まれ、堂々巡り的な思考に陥ることがあります。そんなとき「だめだ、集中しろ」ではなく、「今、○○と思ったな...」「今、○○と感じたな...」とありのままに気づき、受け止めていくのです。

どんな思考も、永遠には続きません。いつかは消えてなくなっていきます。表れたものは「今そう感じた」とそのまま受け止め、消えていくものはそのままに任せます。好悪のジャッジから自由になることも、「マインドフルネス」の大切な要素です。

 

人に助けを求めることも立派なセルフケア

ここまで、ストレスを自分でケアする方法をお話ししましたが、「セルフケア」は自分一人で行なわなければならないものではありません。誰かにサポートしてもらうのも、立派な「セルフケア」の1つです。

助けを求めるのは、親や友人でもいいですし、カウンセラーや医師などの専門家でも構いません。

また、もう一人の自分に助けを求める方法もあります。苦しみを抱えている人をイメージして、その人に「どうしたの?」と声をかける。

ここで「それくらいで弱音を吐くな」ではなく「何がそんなに苦しいのか、一緒に考えてみよう」と寄り添うことが大切です。自分に優しくできるようになるだけで、心はとても楽になります。

まずは「周囲の人に助けを求める」ことを、コーピングリストの一つ目に書き加えていただければと思います。

【伊藤絵美(いとう・えみ)】
洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長。公認心理師。
慶應義塾大学文学部人間関係学科心理学専攻卒、同大学大学院社会学研究科博士課程修了。大学院在籍中からカウンセラーとして精神科クリニックに勤務する。その後、民間企業を経て2004年に洗足ストレスコーピング・サポートオフィスを開設。認知行動療法に基づくカウンセリングを提供している。著書に『セルフケアの道具箱』(晶文社)などがある。

(『THE21』2023年3月号特集「心が強くなる! 『メンタル』整理術」より)

関連記事

×