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生き方

“聞こえるように嫌味をつぶやく人”は、何故その衝動を抑えきれないのか?

大愚元勝(住職・慈光グループ会長)

2023年06月06日 公開

 

「軽蔑」の多くは「怒り」に発展する

軽蔑には、蔑みではなく怒りに近いタイプの感情もあります。

「なんであの人はこんな簡単なこともできないんだ。ありえない」
「めちゃくちゃ狭い道なのに、横に広がって歩くなんて非常識で迷惑だ」

このように、自分が簡単にできることをできない人、場の空気を読めない人、社会的ルールを守れない人に対して生じる軽蔑は、たいていの場合、怒りに発展するものです。

芸能人のスキャンダルに対するバッシングも「清純派だと思っていたのに、ルールを破って不倫するなんて許せない」などと、怒りの感情で叩いている人もいるでしょう。

相手をバカにする気持ちが怒りに変わってしまっているな...。そんな自分の気持ちに気づくことができたら、「怒り」の対処法(怒りの炎に妄想による燃料を投下しない、怒りの対象から離れるなど)をもって臨んでください。

そこに気づけずにいると、さらに怒りを募らせて、自ら面倒なシチュエーションを生み出してしまうこともあります。とくに日本人に多いのは、あえて相手に聞こえるようにぼそっと嫌味を言うケースです。

「あ~あ、ここは公共の場なんだけどなぁ」
「そんなことをするなんて、どういう神経をしているんだろう」

根底に軽蔑の念がありますから、言い方にはとかくいやらしさが伴います。言われたほうは当然、カチンときますよね。自分は確かに良くないことをしていると思っていても、嫌味を言ってきた相手に対する怒りが生まれます。そのまま口論になってもなんら不思議ではありません。

社会的ルールを守らない人に対して軽蔑の感情が生まれ、それが怒りに転じようとしていたら、ひとつ深呼吸をして、冷静に指摘してあげたほうがよほどお互いのためになるのではないでしょうか。

嫌味口調や喧嘩腰ではなく、丁寧に、理路整然と正論を向けられたら、言われたほうはけっこう素直に従うものです。

ただし最近は物騒な世の中になり、マナーの悪い人に注意をしたら突然ナイフで刺されたなんて事件を聞くこともありますので、指摘を躊躇う場合は、その場(怒りの対象)から離れることが最善だと思います。

 

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