人生に二生はない
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<天風の言葉>
一生は断然一生で、二生はないんであります。いっぺん死んじまえば、二度味わえはしないこの人生、こりゃあ尊いものです。(『心に成功の炎を』)
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天風の口グセの1つ。人生は一回かぎり。今を大切にしようという教え。ほかにも、「人生はオンリーワンページである」「人の一生は、なんとしても一回限りのものである。絶対に二生はない」(『真理のひびき』)など。
これほどまでに、人生の一回性を強調するのは、人生をなおざりにしている人が散見されるからであろう。生きているうちなら、失敗しても、やり直しがきく。やらなければ失敗はない。が、やらないことは、生命を刻々と消費するだけ。一回かぎりの生涯を、そんな粗末に扱っていいのかと問うているのだ。
三勿三行
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<天風の言葉>
「正直」「親切」「愉快」ということに努めてごらん。怒りや悲しみや怖れに、ふりまわされちゃいけないよ。これを「三勿三行の教え」というんです。 (『信念の奇跡』)
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3つのやってはいけない"三勿"。3つの実践すべき"三行"。
・三勿─怒るな、怖れるな、悲しむな、という3つのやってはいけないこと。
どんな人間にも感情があり、感情の発露は自然なことだ。だから、怒っても、怖れても、悲しんでもいい。では、なぜ「怒るな、怖れるな、悲しむな」なのか。天風が教えたのは、感情にふり回されるな、ということである。
感情にふり回されるとは、抑えきれないほど感情が過剰になることだ。そこで、怒り過ぎるな、怖れ過ぎるな、悲しみ過ぎるな、と戒めた。これが三勿である。もし感情にふり回されたら、人生の主人公は気まぐれな感情になってしまう。その結果、生命は萎縮していく。
・三行─正直、親切、愉快、という3つの実践すべきこと。
この3つを実践すると、生命がいきいきする。
(1)正直とは、本心や良心に恥じない行動。やましいことがあると生命は萎縮する。逆に、正直に生きると、生命はのびのびと膨らんでいく。
(2)親切とは、本心や良心から現れた他愛の行動。人への愛は、生命力の発露である。
(3)愉快とは、他人に喜んでもらう楽しみのこと。愉快には2つある。一時的なものと、長続きするもの。一時的な愉快は、自分の本能を満たすだけ。天風が最上とする愉快は、他人に喜んでもらうことが嬉しいという、持続可能な愉快である。
心一つの置きどころ
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<天風の言葉>
「人間の健康も、運命も、心一つの置きどころ」。心が積極的方向に動くのと、消極的方向に動くのとでは、天地の相違がある。(『運命を拓く』)
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天風の口グセの一つ。心の持ち方一つ、思い方一つで、これからの人生に天地の開きが生じるということ。
人生に天国をつくるのも、地獄をつくるのも、自分次第である。「人生は心一つの置きどころ」という言葉は、天風門下の多くの人々の心を捉えた。岐路に立ったとき、この言葉を想起する人が多い。
ただ、ずっと消極的に生きてきた人が、突然、積極的にはなれない。日頃の修練がものを言う。岐路に立ったときだけではなく、つねに「心一つの置きどころ」が問われている。