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生き方

「親が悲しむから実家を出られない...」自分を縛る“罪悪感”の正体

岩壁茂(心理学者)

2023年09月21日 公開

「親が悲しむから実家を出られない...」自分を縛る“罪悪感”の正体

「恥ずかしい」「申し訳ない」「私なんて」......。そんなマイナスな感情に囚われて悩んでしまったとき、どのように対処すれば良いのでしょうか。心理学者の岩壁茂さんが、自分を嫌いにならないために、恥と罪悪感を手放す方法をご紹介します。(取材・文:林加愛)

※本稿は、『PHPスペシャル』2023年10月号より内容を抜粋・編集したものです。

 

2つの感情は、似ているけれど違う

「恥」は、喜怒哀楽と同じくらい根源的な感情です。人間をはじめとする哺乳類に、本能的に組み込まれたもの――これを心理学の世界では「基本感情」と呼びます。

群れで生きる生物は、そこでの決まりごとや価値観から外れると孤立します。動物社会において、孤立は「死」とほぼイコール。

また、群れの中でも「みにくいあひるの子になってはいけない」という意識が、孤立を押しとどめるブレーキになっていました。恥は、生物が生き抜くために必要な感情であるとも言えるでしょう。

現代でも、私たちは何らかの社会に属して生きています。そのため、「自分は周りから変だと思われているのではないか」などと感じたとき、集団から孤立しないように、即座に「恥ずかしい!」という思いが湧くのです。

恥と似た感情に「罪悪感」がありますが、こちらは基本感情ではありません。恥は幼い子供でも感じますが、罪悪感は、ある程度成長してから起こるもの。その人が培ってきた価値観や経験が引き起こす感情とも言えます。

罪悪感は長らく(とくに西欧では)、悪い行動を「修正する」感情だとされてきました。つまり、よりよく生きるためにプラスの作用をもたらす、と考えられてきたのです。

ここまでに説明したように、恥も罪悪感も、悪い面ばかりではないと思うだけで、少しはラクになるのではないでしょうか。ただし、強すぎる恥感情や罪悪感を持ち続けることは危険。「自分はダメだ、情けない」という自己否定に陥ってしまうからです。

皆さんは、不要な恥や罪悪感に駆られていませんか? ならば、その重荷を少しずつ下ろしていく工夫をしてみましょう。

 

プラスの自意識とマイナスの自意識がある

恥も罪悪感も、「自意識感情」です。繰り返しになりますが、ある程度は必要なもの。自分を客観的に振り返って「恥ずかしい」「悪かった」と思うからこそ、人はルールやマナーを守れるのです。また、「自分にとって大事な秘密」をあけっぴろげに話さない、といったプライバシーに関わる自衛もできます。

しかし、自己否定が伴ってしまうなら、それは「マイナスの自意識」。手放したほうが賢明です。周囲から受ける不当な偏見や、深刻なものでは、いじめや虐待が原因となっていることもあります。自分が抱いている感情が、プラスなのかマイナスなのか、今の状況を振り返ってみることも大切です。

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マイナスの自意識を放っておくと......

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