終売の危機の「チョコレート効果」を大ヒットさせた明治の逆転戦略とは?
2023年10月12日 公開 2024年12月16日 更新
パッケージには、カカオ成分の配分量を示す「72%」「86%」「95%」という表記。
さらには、ひときわ目立つカカオポリフェノール量の表記。甘いミルクチョコレートなどのパッケージとも、そのほかの高カカオチョコレートとも一線を画しているのは、明治の「チョコレート効果」(https://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/chocokoka/)である。
日本国内の高カカオチョコレート市場売上No.1を誇っており、いまや押しも押されもせぬ、「人気のチョコレートブランド」である。
そんなに発売から年月が経っていないかと思いきや、実は、2023年に発売25周年を迎えている。
さらには、発売当初は社内からも「こんなん売れへんで」「苦すぎる」と言われ、いつ終売になってもおかしくない状態だったというが、17年もの月日を経て、健康意識の高い方を中心にブレイクしたという。
そんな苦難の日々からの逆転劇、「チョコレート効果」が歩んだ道を、株式会社明治・食品開発本部長の宇都宮洋之さんに伺った。
常識破りの「カカオ成分70%チョコレート」はどう生まれた?
――「チョコレート効果」が生まれたきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
1995年、テレビの情報番組で健康に関する情報が取り上げられたのをきっかけに「ココアブーム」が起こりました。ココアに含まれている「カカオポリフェノール」という成分に健康志向の高い消費者が興味を持ち、それに伴い1998年に発売したのが「チョコレート効果」です。
私は発売当初の「チョコレート効果」の製造を大阪工場で担当していました。当時、チョコレートのカカオ分のマックスが40%ほどだった時代に、70%のチョコレートを作ると聞いて「ありえない!」と思いました。
また、ポリフェノールについてもほとんど知らなかったため、研究所から説明を受けるところからのスタートでした。工場ではミルクチョコレートをメインに作っていましたが、同じラインで作るとどうしてもミルクが混ざってしまうので、専用ライン化も必要でした。
さらに「チョコレート効果」は発売当初の名前が「チョコレート2000」だったのですが、「2000」はポリフェノールの量を表しており、この量の担保も行うため、工場にポリフェノール分析を行う体制を導入しました。これで生産できる体制は整いましたが、本当に大変だったのは、実はここからでした。
―どのようなことが大変だったのでしょうか。
工場では定期的に品質チェックのためにサンプリングを行うのですが、「苦すぎる」「こんなの売れへんで」と工場内での評判は散々。かく言う私も、「ちょっと売れないだろうな......」と正直思っていました(笑)。
実際、発売初年度のみ「新発売」ということで注目されて、ある程度は売れたものの、その後はなかなか定着せず、年間売り上げ10億円にも満たない時期が長年続きました。この数字だと、本来なら販売終了になってしまってもおかしくない状況だったんです。
社内にも、「いつまで販売を続けられるんだろう......」という空気が漂っていました。