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「茶の菓」ロマンライフ躍進の原動力

河内誠(株式会社ロマンライフ代表)

2012年08月02日 公開 2022年07月11日 更新

「茶の菓」ロマンライフ躍進の原動力

京都スイーツの新定番「茶の菓」で知られる洋菓子店「マールブランシュ」を展開するロマンライフ。本誌では河内誠一名誉会長に「松下幸之助に私淑した商売人生50年」と題し、その商売人生を語っていただいた(本誌をぜひご覧ください)。

ここでは、現在ロマンライフの指揮をとる河内誠社長にうかがった「ロマンライフ躍進の原動力」についてのお話の前半部分をご紹介します。
<写真:髙橋章夫>

※本稿は、『PHP Business Review 松下幸之助塾』2012年7・8月号Vol.6』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

経験の報告・発表が人材強化にも

理念の徹底

河内誠一名誉会長の長男である河内誠社長が経営の指揮をとるロマンライフは現在、「マールブランシュ」を展開する洋菓子事業を中核に、10年ほど前から鶏料理レストラン「侘家」の運営にも乗り出している。同社の経営は好調で、年商が、2009年度=約42億円、2010年度=約49億円、2011年度=約54億円──と、順当な伸びを示している。

その要因として、2007年発売の抹茶を用いたラングドシャ「茶の菓」のヒットをあげることができるが、一方で、ロマンライフが経営理念を重視し、活力ある社風をつくることに多大な力を注いでいることにも目を向けたい。

同社は、河内名誉会長の「創業の心」(誘われたロマンへ今日は誘ってる)や「合掌カレンダー」(同名誉会長の31の信条から成る日めくり)にある創業者理念、そして「社会への貢献」「社員の幸せ」「企業の繁栄」の3点から成る「経営理念」を徹底させるため、朝礼などのたびに社員はそれらを唱和している。

 

「成長コンテスト」

しかし、ロマンライフに特徴的なのは、こうした格式ばった唱和ばかりでなく、日々の業務の中で理念を身につけつつ各人が成長を心がけるような仕組みづくりもしていることだ。

たとえば毎年、全社員参加(管理職除く)の「成長コンテスト」を開いている。ロマンライフでは、150名を超える一般社員が上司との面談を通して、1年後の目標を立てている。そして1年たつと、各社員はどれだけ成長したのかを発表する義務がある。

この発表は同コンテストの予選になっており、会社の各部門を勝ち抜いた9名が入賞者として決戦の出場権を得る。そして、スピーチ審査の結果、年間MVPが選ばれる。

社員間のライバル心をあおるコンテストにも思われるが、河内社長によると、そういうものではないらしい。

「最後に残る9人は自分の苦しみを乗り越えた社員ばかり。成長を発表しているうちに感極まって泣く。感動して審査員まで泣く。結局みんな泣く」

「大家族主義」を標榜する会社だからこそ、人を貶めるようなことを考える社員はいないのだ。河内社長は言う。

「ただ発表するだけではない。入賞の9名は、プロのインタビュアーによる自叙伝をつくってもらえる。これは入賞者にとって一生の宝物ですね」

その自叙伝を収録した冊子『「成長」という感動を追い求めて』を開くと、9名それぞれが、ロマンライフで働くことの意味を、上からの押しつけではなく、率直に語っている。

同社はこのように、現場で働く社員の生の言葉を全社的に流通させることに力を注いでいる。(以下、本誌でご覧ください)

 

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