「女性だから昇進できない」「育休を取得しづらい雰囲気がある」。こうした性別による不当な扱いを、「昇進ガラスの天井」と呼ぶ。この言葉が最初に使われたのは、1978年。
あれから40年、少しずつではあるが、「女性の活躍推進」や「男性の育休支援」を謳う企業が増えている。退職学(R)の研究家・佐野創太氏が、そんな企業の探し方を紹介する。
※本稿は、佐野創太著『ゼロストレス転職 99%がやらない「内定の近道」』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
女性が働きやすい職場は、男性も働きやすい
「どれだけ頑張っても女性というだけで、評価されない会社なんです」
キャリア相談の中では「一体いつの時代の会社なんでしょうか?」と怒りで声を震わせる相談者さんもいらっしゃいます。
こんな不利な環境で我慢する時間は、あなたには1分もありません。「正当に評価される環境で努力をする」ことが長期的に安心して働くためには必要です。転職とは、「私を正当に評価できる環境に移動する一連の行動」です。
アメリカの企業コンサルタントだったマリリン・ローデン氏が「ガラスの天井」という言葉を使ったのは1978年頃だと言われています。女性やマイノリティーという属性だけで昇進できない、評価されない「目には見えない障壁に阻まれている」状況があることを発信しました。
あれから40年以上経っていますが、状況はどうでしょうか? 改善はされているものの、「女なんだから仕事よりも家事をしろ」「男は子育てなんかせずに黙って働け」と苦しめられている人がいます。無意識のうちに「私は女性だから」「私は男性だから」と追いつめられている人もいます。
性別が不利にならない職場は、実は誰にでも簡単に見極めることができます。
それが「えるぼし認定」です。厚労省は「女性の活躍推進に関する状況などが優良な企業を認定する制度」として、えるぼし認定を推進しています。より高い水準の要件を満たした企業は「プラチナえるぼし認定」を受けることができます。
「女性の活躍推進」とあると、「男性の私には関係ない」と思うかもしれませんが、実際に、えるぼし認定企業に転職した男性の相談者さんはこう話してくれました。
女性が働きやすい環境の本当の意味は、「女性だけが働きやすい環境」ではないと気づきました。男性も働きやすいんです。企業の成長のための手段として使い捨てられる道具ではなく、自分だけの人生を持った人間として働ける会社だとわかりました。有休を取る時に理由を上司に伝える必要がなかったり、大事な私用で中抜けしてOKなど、人として尊重されていることがわかります。
えるぼし認定企業・プラチナえるぼし認定企業は、言い換えれば、性別や属性が不利にならないフェアな職場を目指している企業なのです。
なお、えるぼし認定には5つの評価項目とレベルがあり、どのレベルであっても、実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表しなければなりません。「一度認定されたら終わり」ではないので、信ぴょう性があります。
女性が働きやすい職場は増えている
えるぼし認定を受けている企業を探すには、厚労省が公開している「女性活躍推進法への取組状況」ページのエクセルデータをご覧ください(令和4年11月末日現在)。
このデータによると、えるぼし認定企業は1990社、プラチナえるぼし認定企業が33社あります。
従業員数の多い大企業のイメージがあるかもしれませんが、従業員数300名以下のえるぼし認定企業は842社です。従業員数300名以下のプラチナえるぼし認定企業は15社あります。どちらも約40%です。さらに細かく検索条件を設定したい場合は、しょくばらぼの検索サイトをご覧ください。
十分とは言えないまでも、社会全体として女性の働きやすさを重視している企業は確かに増えていると言えるでしょう。あなたが不当な我慢を強いられてもいい理由は一つもありません。思いっきり仕事と生活に打ち込める職場が、あなたを待っています。