2026年3月19日(木)午前10時、三省堂書店 神田神保町本店がいよいよ新装開店を迎えます。
2022年のビル建て替えにともなう一時閉店から約4年、本の街・神田神保町の一丁目一番地に、まったく新しい書店が誕生します。本稿では、生まれ変わった店内の様子をレポートします。
コンセプトは「歩けば、世界がひろがる書店。」

亀井崇雄社長
新店舗のコンセプトは「歩けば、世界がひろがる書店。」。代表取締役社長・亀井崇雄氏は次のように語ります。
「お客様には、ぜひ店内を歩いていただきたいと思っています。知的好奇心が刺激される、偶然の出会いを店の設計において特に重視しました」
ネット書店が充実したいまの時代、リアル書店に求められるのは「網羅性」よりも「偶然性」だという信念のもと、今回のリニューアルは設計されています。
「在庫が豊富にあるネット書店がある時代、リアル書店に求められるのは偶然性だと思っています。そのためには、店内を歩いていただくことが肝。とにかく歩いて、偶然の出会いをしていただけるように設計しました」(亀井社長)
リニューアルにあたっては各店舗の在り方を根本から見直し、「今までの書店を抜け出して、未来の書店とはどういうものか」を核に考えたといいます。内装コンセプト・デザインは、建築家・長谷川豪氏が担当しました。
1階 インパクト大の「知の渓谷」

・知の渓谷
1階は、中央のメイン通路にある書棚の高さが低く、両側に向かってだんだん高くなるという段差のある構造が特徴的です。自分が見ている棚の向こう側も視界に入り、次の棚へと自然に誘導される設計になっています。
亀井社長も「1階の設計が一番苦労した」と明かしており、レジの配置や、インパクトある見せ方をどう実現するかで何度も検討を重ねたといいます。


・ガイドの机
1階の一番端には、著者やクリエイターがいちばん好きな本を紹介する机を設置。記念すべき第1回目は亀井社長の必読書5選が並びます。

神田神保町本店限定カバーや限定帯の書籍も販売されています
2階 出会いのときめきを大切にした棚づくり

・発見のさざ波
2階に上がってすぐのスペースでは、人文系の書籍を中心とした「強みのジャンル」が展開されます。人文書のコーナー「発見のさざなみ」は、棚を45度に振って配置し、他の棚が目に入るよう工夫されています。

・没入キャビン
本を精査して選びたい方のための、落ち着いたスペースです。じっくりと一冊を選べるように設けられています。

・探求の洞窟
新書コーナー「探求の洞窟」では、一般的に壁面に沿ってまっすぐ設置されがちな棚を、ひだ状に配置。囲まれた空間を演出することで、没入感を生み出しています。亀井社長が「特にお気に入り」と語る新書コーナーは、国内トップクラスの品揃えを誇ります。

・ゆさぶりの島
「自分自身を深め、心をゆさぶる一冊を」というコンセプトのもと設けられた「ゆさぶりの島」は、「島什器(しまじゅうき)」と呼ばれる什器を使用し、担当者の想いがこもった一冊を手に取ってもらえるコーナーです。

・トキメキの島
新刊と話題の本が集まるコーナー。タイトルのとおり、出会いのときめきを大切にした棚づくりがされています。
3階 楽しくぐるぐると回れるフロア

・みちびきの渦
3階は、棚が放射線状に配置されており、どこに何があるかが一目でわかるレイアウトになっています。児童書を展開するフロアとして、他の階とは異なる「楽しくぐるぐると回れる」設計を意識。棚の端を円形パーツとしているのも、棚から棚へとスムーズに移動しやすくするための工夫です。

・積読サイン
各棚には「積読サイン」と呼ばれる標識が設けられており、棚番号とジャンルが記されています。その下には新刊「ルーキー本」を配置。ロングセラーの売れ筋本は面出しで並べられ、その棚の個性を視覚的に伝えます。

・喫茶ちそう
また、3階には「喫茶 ちそう」が設けられています。店名の「ちそう」は「地層」が由来でもあり、看板メニューは店名とかけた、ミルクレープ。
歩いて発見する場所へ
オリジナルグッズも充実。"神"保町とかけたジンも販売。ラベルには小説が印刷されている。
蔵書数は50万冊、2400棚。書籍売り場の面積は旧本店の6〜7割程度となりましたが、その分だけ徹底的に「偶然性」と「体験」に振り切った設計がなされています。ネットやメディアで代替できるコンテンツはあえて絞り込み、コミックや文芸に重点を置いているのも特徴です。
今回のリニューアルは、「在庫を探す場所」から「歩いて発見する場所」へと、書店の役割を再定義する挑戦です。偶然性を最大化する空間設計と、ジャンルごとの体験設計が、リアル書店ならではの価値を生み出しています。棚のあいだを歩けば、きっと世界をひろげる一冊と出会えるはずです。

三省堂書店 神田神保町本店
住所:東京都千代田区神田神保町1丁目1番地(1〜3階)
グランドオープン:2026年3月19日(木)午前10時
営業時間:10:00〜20:00






